まちのしおり

汐見町 月刊フリーマガジン

Vol.147 2026.07.01 発行

01特集Feature

商店街の朝ごはん

汐見銀座商店街 — 開店は朝5時から。漁を終えた人と、これから漁に出る人がすれ違う時間に、まちの朝ごはんはある。

汐見銀座商店街のシャッターが上がり始めるのは、まだ空が藍色をしているうちだ。汐見港で水揚げを終えた漁師たちが、そのまま商店街に流れ込んでくる。「うちは漁師さんの帰り道に合わせて店を開けてるだけなんです」と話すのは、喫茶ときわの三代目・常盤(ときわ)さん。開店から60年、時間だけは一度も変えていない。

開店は朝5時から

商店街に朝5時開店の店が集まっているのは、汐見漁港の水揚げ時間に理由がある。早朝便で戻る底引き網漁は夜明け前に港へ着く。魚を市場に卸し終えた漁師たちが、まだ日の出前の商店街で朝食をとる。そのため、この通りだけ他の地区より1〜2時間、朝が早く始まる。

「昔は漁師さんしか来なかったけど、今は夜勤明けの人や、早朝ウォーキングのお年寄りも増えました。朝ごはんの時間を目当てに来る人が増えたのは、この10年くらいの変化です」(喫茶ときわ・常盤さん)

商店主に聞いた、朝ごはんの流儀

パン工房 潮風製パンの店主は、毎朝4時に窯へ火を入れる。「一番風味が飛ばないうちに届けたいから、焼きたてを漁師さんの船着き場まで自転車で運ぶこともあります」。汐見食堂の朝食営業は6時から9時までの3時間限定。焼き魚定食を目当てに、隣町からわざわざ足を運ぶ客も少なくないという。

五十嵐豆腐店では朝いちばんの豆腐に湯をかけただけの「朝湯豆腐」を無料でふるまう習慣が続いている。「売り物じゃなくて、朝の挨拶みたいなものです」と店主。値札のつかない一杯が、この商店街の朝の空気をよく表している。

早起きは三文の徳、を体現する町

朝5時から9時までの短い時間に、これだけの朝食文化が凝縮している町は珍しい。今号では、その中でも特に朝の顔として親しまれている4軒を「店めぐり」で詳しく紹介する。歩いて回れる距離に4軒すべてが収まっているので、休日の朝の食べ歩きにもちょうどいい。

商店街の開店ピーク5:00〜7:00
朝食営業を行う店舗数11
喫茶ときわ 創業1965

02店めぐりShop Guide

朝が美味しい4軒

写真の代わりに、まちの人の言葉で道を示します。歩いて回れる商店街の朝を巡ってください。

喫茶ときわ

6:00–11:00(L.O. 10:30 モーニング 450円〜

創業60年の純喫茶。トースト・ゆで卵・小鉢がつく昔ながらのモーニングセットは、注文と同時に出てくる速さが漁師たちの支持を集めてきた。窓際のカウンター席から商店街のシャッターが上がる様子が見える。

一言地図: 汐見駅からアーケードを海側へ直進、郵便局の角を左に曲がってすぐ左手。青い日よけが目印。

パン工房 潮風製パン

5:30–18:00 食パン1斤 380

窯出しは朝5時台。塩気を効かせた食パン「汐見の朝」が名物で、早い日は7時前に完売する。店頭のベンチでちぎって食べていく常連も多い。焼きたての湯気が上がる時間帯だけ、商店街に香りが漂う。

一言地図: 商店街入口、魚屋「魚辰」の2軒隣。朝は湯気の出る換気口が目印になる。

汐見食堂

6:00–9:00朝食限定 焼き魚定食 700

その日の水揚げに合わせて焼き魚が変わる定食屋。朝食営業は3時間だけだが、隣町から車で訪れる客も多い。味噌汁の出汁は毎朝、粗からとる。昼の営業とはメニューも値段も別立てになっている。

一言地図: 商店街のちょうど中ほど、理容店「バーバー汐見」の向かい側。のれんは藍色。

五十嵐豆腐店

5:00–13:00 朝湯豆腐 無料サービス

毎朝いちばんの豆腐に湯をかけただけの「朝湯豆腐」を、開店から1時間だけ無料でふるまう。売り物ではなく朝の挨拶として続けている習慣で、店先の縁台に座って食べていく人が絶えない。木綿・絹ともに量り売り。

一言地図: 商店街のはずれ、汐見神社の鳥居の手前。店先に湯気の立つ大鍋が出ている。

03今月の催しEvents

7月のイベント12件

日付順にまとめました。会場は町内が中心です。詳細は各主催へお問い合わせください。

  1. 07.03朝市デー — 商店街早朝特別開場汐見銀座商店街
  2. 07.05汐見港 朝ヨガ汐見港 第2岸壁
  3. 07.08こども科学教室「潮の満ち引きをはかる」汐見町立図書館 集会室
  4. 07.11朝ごはんスタンプラリー 受付開始商店街加盟4店舗
  5. 07.12小さな朗読会 第24回汐見町立図書館 2階
  6. 07.14特集記念トークイベント「朝ごはんと商店街」公民館 大会議室
  7. 07.18商店会 夏祭り準備会(見学自由)商店会事務所
  8. 07.19汐見漁港 見学ツアー(要予約)汐見漁港 案内所前
  9. 07.21火祝海の日マルシェ港前広場
  10. 07.24朝ごはんスタンプラリー 締切商店街加盟4店舗
  11. 07.26汐見座 上映会「朝の記憶」汐見座(旧映画館)
  12. 07.308月号 取材協力者 募集締切まちのしおり編集部

04連載コラムColumn

潮目日記/路地の建築ノート

まちの書き手2名による連載。今月も届きました。

連載 — 第58回

潮目日記

7月に入ると、汐見の海は潮の色が変わる。沖に濁りが出て、岸沿いだけ澄む日が続く。これを漁師のあいだでは「境目が立つ」と呼ぶ。境目が立つと、そこに小魚が集まり、それを狙う大きな魚も寄ってくる。

今月は例年より境目の立つ日が早かった。海水温の上がり方が去年と違うのだろう。魚の顔ぶれも変わってきている。祖父の代からの記録帳を見返しながら、今年の海と付き合っている。

連載 — 第12回

路地の建築ノート

汐見銀座商店街を歩くと、2階の造りが店ごとに少しずつ違うことに気づく。看板建築と呼ばれる、正面だけを飾った建物が多い。昭和の商店主たちが、限られた予算の中で「表だけでも立派に」と工夫した跡だ。

今月は、五十嵐豆腐店の格子戸を採寸した。木組みの間隔が隣家と1寸ほど違う。同じ職人が手掛けたはずなのに、この微妙なずれが、通りに手作りの表情を与えている。

配布場所一覧

汐見町役場 1階ロビー町民課横
汐見港フェリーターミナル待合所ラック
汐見駅前観光案内所窓口カウンター
汐見町立図書館地域資料コーナー
汐見中央病院待合ロビー
汐見郵便局窓口横
汐見町公民館受付前
商店街加盟店(喫茶ときわ 他)レジ横