コンバージョン 計測、それは顧客の”心の声”を聴く技術
Webマーケティングをご担当のあなたへ。日々の業務、本当にお疲れ様です。
アクセス解析ツールと向き合い、改善策を練っては実行する毎日。「アクセス数は増えたのに、なぜか売上は伸び悩んでいる」「広告費を投下しているのに、費用対効果が見合わない」…そんなもどかしさを、今まさに感じていらっしゃるのではないでしょうか。
もし、あなたがそうした壁に突き当たっているのなら、それは決してスキル不足や努力不足が原因ではありません。多くの場合、航海の指針となる「羅針盤」が、まだ手元にないだけなのです。
この記事でお話しするのは、単なる「コンバージョン計測の設定方法」ではありません。私たちが創業以来15年間、一貫して掲げてきた「データは、人の内心が可視化されたものである」という哲学に基づき、あなたのビジネスを動かすための「考え方」そのものをお伝えします。数字の向こう側にいる顧客の”心の声”を聴き、確かな一歩を踏み出すための羅針盤を、一緒に手に入れましょう。
なぜ「コンバージョン計測」が、すべての始まりなのか?
「コンバージョン計測」と聞くと、少し技術的で難しく感じるかもしれませんね。しかし、これはWebマーケティングという大海原を航海するための、最も重要な生命線です。
一言でいえば、コンバージョン計測とは、あなたのWebサイトにおける「最終的な目標 達成度」を測る仕組みのこと。それは商品購入かもしれませんし、資料請求やお問い合わせかもしれません。あなたのビジネスが、Webサイトを通じて「何を実現したいのか」という問いへの、明確な答えです。

多くの担当者様が陥りやすいのが、アクセス数やPV数といった「量」の指標に一喜一憂してしまうことです。しかし、どれだけ多くの人がサイトを訪れても、彼らがあなたの望む行動を起こしてくれなければ、ビジネスは一歩も前に進みません。大切なのは、「量」から「質」へと視点を移すこと。そのための唯一の手段が、コンバージョン計測なのです。
私たちは、これを「数値の改善」ではなく「ビジネスの改善」を目的として捉えています。コンバージョンという結果から逆算し、顧客がどのような道のりを辿り、どんな気持ちで行動してくれたのか、あるいは、なぜ途中で諦めてしまったのか。その物語をデータから読み解くことで、初めて「次に何をすべきか」という具体的な打ち手が見えてくるのです。
すべての計測の要、Googleタグマネージャー(GTM)という名の司令塔
では、具体的にどうやって計測するのか。その中心的な役割を担うのが、Googleタグマネージャー(GTM)です。
GTMは、Webサイトに埋め込む様々な「タグ」を一元管理できる、Googleの無料ツールです。これを例えるなら、Webサイトにおける「司令塔」のような存在。以前は、新しい計測タグを追加するたびに、エンジニアに依頼し、ページのソースコードを直接編集する必要がありました。これでは時間もかかりますし、ミスの原因にもなりかねません。
GTMを導入すれば、マーケティング担当者自身が、まるでレゴブロックを組み立てるように、直感的な操作でタグの追加や修正を行えるようになります。これにより、施策の実行スピードが劇的に向上します。あるクライアント様では、GTM導入によって改善のサイクルが高速化し、それまで数ヶ月かかっていた施策検証が数週間で可能になりました。

もちろん、便利なツールには注意点も伴います。設定を一つ間違えれば、不正確なデータが蓄積され、誤った経営判断を招きかねません。だからこそ、次にお話しする「仕組み」の理解が不可欠になるのです。
計測の仕組みを理解する:「タグ」「トリガー」「変数」の三重奏
GTMを使いこなす鍵は、「タグ」「トリガー」「変数」という3つの要素の関係性を理解することにあります。これは、美味しい料理を作るためのレシピによく似ています。
まず「タグ」。これは「何をするか」を定義するものです。「Google広告にコンバージョン情報を送る」「GA4に特定の行動を記録する」といった、最終的なアクションを実行するコード片です。料理で言えば、「焼く」「煮る」といった調理法にあたります。
次に「トリガー」。これは「いつ、どんな条件でタグを動かすか」というスイッチの役割を果たします。「サンクスページが表示されたら」「特定のボタンがクリックされたら」といった条件設定です。レシピで言えば、「オーブンが200℃になったら」「玉ねぎがあめ色になったら」という手順ですね。
そして「変数」。これは、タグやトリガーが必要とする「具体的な情報」を格納する箱です。例えば、「購入された商品の金額」や「クリックされたボタンのテキスト」といった動的な情報を扱います。料理における「新鮮な牛肉 200g」や「国産の玉ねぎ 1個」といった、具体的な材料だと考えてください。

この3つの関係性を理解せず、ただ闇雲にタグを設定してしまうのは、レシピを見ずに勘だけで料理を作るようなもの。それでは、本当に価値のあるデータというご馳走は、決して出来上がりません。この3つの要素がどう連携するのかを理解することが、正確な計測への第一歩です。
広告効果を最大化する、Google広告・meta広告 コンバージョン計測
Web広告を運用しているなら、コンバージョン計測はまさに生命線です。Google広告やMeta広告(Facebook/Instagram)の管理画面に表示されるクリック数や表示回数は、あくまで「入り口」での出来事に過ぎません。
本当に知りたいのは、その広告費が、いくらの売上や、何件の有望な見込み客に繋がったのか、という「投資対効果(ROI)」ですよね。それを明らかにする唯一の手段が、コンバージョン計測です。
例えばGoogle広告では、GTMと連携して「購入完了」や「資料請求完了」といったアクションをコンバージョンとして設定します。これにより、「どのキーワードが」「どの広告文が」実際に成果を生んでいるのかが明確になり、予算を成果の高いキャンペーンに集中させることができます。
Meta広告の「Metaピクセル」も同様です。ユーザーがサイト内でどのような行動(イベント)を取ったかを詳細に追跡することで、広告の最適化精度が飛躍的に向上します。あるクライアント様は、コンバージョンの定義を「問い合わせボタンのクリック」から「問い合わせ完了ページの表示」へ見直しただけで、広告経由の有効な商談数が1.5倍に増加しました。これは、計測の精度がビジネスの成果に直結することを示す好例です。

見落とされがちな「Googleフォーム」のコンバージョン計測
手軽に使えるGoogleフォームは、リード獲得の強力な武器ですが、その成果を正しく計測できているケースは、驚くほど少ないのが実情です。
多くの場合、フォーム送信後に表示されるデフォルトの「回答を記録しました」というメッセージのまま、計測を諦めてしまっています。これでは、何件の送信があったかは分かっても、その人たちがどの広告やどのページから来たのかを追跡できません。
解決策はシンプルです。フォーム送信後に、必ず専用の「サンキューページ」へリダイレクトさせること。そして、そのサンキューページのURLへのアクセスを、GTMでコンバージョンとして計測するのです。
たったこれだけの工夫で、Googleフォームからのリード獲得経路がすべて可視化され、マーケティング施策の精度は格段に上がります。私たちは過去に、フォームの入力項目を少し減らし、サンキューページへの導線を整えるという「簡単な施策」だけで、コンバージョン率が20%も向上した事例を何度も見てきました。派手な改善だけが正義ではないのです。
GA4で見るコンバージョン:ユーザーの「行動」を深く知る
次世代のアクセス解析ツール、GA4(Googleアナリティクス4)は、コンバージョン計測をさらに深いレベルへと引き上げてくれます。

従来のユニバーサルアナリティクス(UA)が「セッション(訪問)」という箱でユーザーを捉えていたのに対し、GA4は「イベント(行動)」という、より細かな単位ですべてを記録します。これは、ユーザー 行動一つひとつに意味を見出そうとする、大きな思想の変化です。
GA4では、「特定のボタンをクリックした」「動画を最後まで視聴した」「特定のページを閲覧した」といった様々な行動を「イベント」として登録し、その中から特に重要なものを「コンバージョン」としてマークします。これにより、最終的な成果だけでなく、成果に至るまでの「道のり」を詳細に分析できるようになります。
例えば、「どのページを見たユーザーは、コンバージョンしやすいのか」「初回訪問でコンバージョンしなかったユーザーが、再訪問時にどのような行動をとるのか」といった、顧客のインサイトに迫る分析が可能です。GA4を使いこなすことは、まさにデータを通じて顧客と対話する技術と言えるでしょう。
計測設定で陥りがちな「罠」と、プロが実践する対策
コンバージョン計測の設定は、精密な機械の組み立てに似ています。一つ歯車が狂うだけで、すべてが台無しになりかねません。ここでは、20年の経験で見てきた、よくある失敗とその対策をお伝えします。
一つ目は、技術的な「設定ミス」です。タグの発火条件を誤り、コンバージョンを二重に計測してしまったり、逆に全く計測できていなかったりするケースは後を絶ちません。これを防ぐには、設定後のプレビュー機能を使ったテストと、実際のデータとの突き合わせが不可欠です。

しかし、より根深い問題は、技術の外にあります。それは「データへの向き合い方」です。以前、クライアント様から成果を急かされ、データ蓄積が不十分なまま「速報値」として報告してしまった苦い経験があります。翌月、十分なデータが溜まると全く異なる傾向が見え、私の報告がTVCMによる一時的な急増を見誤ったものだと判明しました。この一件で、私はクライアントの信頼を大きく損なってしまいました。
この失敗から学んだのは、アナリストはデータへの誠実さを守る最後の砦でなければならない、ということです。不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ。正しい判断のためには「待つ勇気」が不可欠なのです。
また、「正論」を振りかざすだけでは、ビジネスは動きません。クライアントの組織的な事情を無視して、コストのかかる理想的なシステム改修を提案し続けた結果、何も実行されなかったこともありました。相手の現実を深く理解し、実現可能なロードマップを描きつつも、避けては通れない課題は伝え続ける。このバランス感覚こそが、真にビジネスを動かすと信じています。
さあ、はじめよう。明日からできる、最初の一歩
ここまで、コンバージョン計測の重要性から具体的な考え方まで、お話ししてきました。データは、集めて終わりではありません。むしろ、そこからがあなたのビジネスにおける「顧客との対話」の始まりです。
もし、この記事を読んで「何から手をつければいいか分からない」と感じていらっしゃるなら、まずはたった一つ、行動を起こしてみてください。

それは、「あなたのWebサイトにとって、究極のゴール(コンバージョン)とは何か?」を、改めて紙に書き出してみることです。
「商品を買ってもらうこと」「質の高い問い合わせをもらうこと」「ブランドのファンになってもらうこと」。それを明確に言語化するだけで、見るべきデータ、打つべき施策が、自ずと見えてくるはずです。
もちろん、その先の戦略設計や、複雑なGTMの設定、深いデータ分析には専門的な知識が必要です。もしあなたが、データという羅針盤を手に、本気でビジネスの航海を成功させたいと願うなら、私たちサードパーティートラストがお手伝いできます。
私たちは、単なるデータ分析会社ではありません。あなたのビジネスに深く入り込み、組織の課題まで見据え、共に汗をかくパートナーです。もし少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお声がけください。あなたの挑戦を、全力でサポートします。