GA4でデータが計測できない…その原因と解決策を、20年の経験から徹底解説します

「GA4の画面を開いても、期待したデータが表示されていない…」
「設定は合っているはずなのに、なぜかリアルタイムの数値すら動かない」

もしあなたが今、このような状況で頭を抱えているのなら、その気持ちは痛いほどよく分かります。ウェブ解析に20年以上携わってきた私自身も、新しいツールや仕様変更のたびに、幾度となく同じような壁にぶつかってきました。

それはまるで、新しい高性能な羅針盤を手に入れたのに、肝心の針が全く動かないようなもの。どこへ進むべきか分からず、不安と焦りだけが募っていきますよね。

ご安心ください。この記事は、そんなあなたのための「羅針盤の修理マニュアル」です。私たち株式会社サードパーティートラストが、創業以来15年間、数々のお客様と乗り越えてきた経験を元に、「GA4で計測できない」という問題の根本原因と、具体的な解決策を一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたは問題解決への確かな道筋を見つけ、自信を持ってデータと向き合えるようになっているはずです。

なぜ「GA4 計測できない」問題は、これほどビジネスに深刻なのか?

まず、あなたに一番にお伝えしたいこと。それは、「GA4で計測できない」という問題は、単なる技術的なトラブルではない、ということです。これは、ビジネスの成長を左右する、極めて重大な経営課題なのです。

ハワイの風景

想像してみてください。もし、あなたが大海原を航海する船の船長だとしたら。羅針盤が壊れ、海図が読めなければ、目的地にたどり着くことはおろか、今どこにいるのかさえ分かりません。闇雲に進めば、座礁したり、嵐に巻き込まれたりする危険性が高まるだけです。

Webサイトのデータも全く同じです。データが計測できなければ、どの広告に効果があったのか、お客様はどんな情報に興味を持っているのか、どこでサイトから離れてしまうのか、といったことが一切分かりません。これは、広告費の無駄遣いや、見当違いのサイト改善、そして何より貴重なビジネスチャンスの喪失に直結します。

私たちが創業以来、一貫して掲げてきた信条は「データは、人の内心が可視化されたものである」というものです。計測できないということは、お客様の心の声が聞こえないのと同じ。ビジネスの羅針盤を失った状態で、正しい意思決定は決してできないのです。

あなたはどれ?計測できない「5つの典型的な原因」と、今すぐできる確認方法

「ga4 計測できない」と一言で言っても、その原因は様々です。しかし、20年以上の経験から言えるのは、原因の多くはいくつかの典型的なパターンに集約されるということです。ここでは、私たちが現場で遭遇してきた代表的な5つの原因と、その解決策を具体的にお話しします。

原因1:基本設定の落とし穴(測定ID、データストリーム)

最も基本的でありながら、意外と見落としがちなのが、この初期設定のミスです。特に、GA4のプロパティを複数管理している場合に起こりがちです。

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【よくあるミス】
・Webサイトに設置した測定ID(G-xxxxxxxxxx)が、分析対象のプロパティのものと違う。
・テスト環境用の測定IDを、本番環境に設置したままになっている。

【今すぐできる確認方法】
まず、GA4の管理画面で[データストリーム]を開き、正しい測定IDを確認してください。次に、ご自身のサイトのソースコードやGoogle Tag Manager(GTM)の設定を開き、設置されているIDが完全に一致しているかを、一文字ずつ確認しましょう。単純なことですが、全ての基本はここにあります。

原因2:タグマネージャー(GTM)の複雑な罠

GTMは非常に便利なツールですが、その自由度の高さゆえに、意図しない設定ミスを招くこともあります。タグが「配信されている」ことと、「正しく発火している」ことは全くの別問題です。

【よくあるミス】
GA4 設定タグのトリガー(発火条件)が間違っていて、一部のページでしか計測されていない。
・イベントタグの設定で、イベント名やパラメータの記述に誤りがある。

【今すぐできる確認方法】
GTMの「プレビューモード」は、あなたにとって最強の味方です。プレビューモードでご自身のサイトにアクセスし、タグが意図したタイミングで「Fired(発火)」しているかを確認してください。もし「Not Fired」のままであれば、そのトリガー設定を見直す必要があります。

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原因3:見えない壁「フィルター」と「参照元除外」

「データは来ているはずなのに、レポートに反映されない」。そんな時は、良かれと思って設定したフィルターが原因かもしれません。特に、社内からのアクセスを除外する「内部トラフィック」の設定は注意が必要です。

【よくあるミス】
・内部トラフィックの除外設定で、誤って広範囲のIPアドレスを指定してしまい、一般ユーザーのアクセスまで除外している。
・決済代行サービスからのアクセスなどを「除外する参照元リスト」に登録してしまい、コンバージョンが正しく計測できていない。

【今すぐできる確認方法】
GA4の管理画面で[データ設定] > [データフィルタ]を確認し、アクティブなフィルターが意図通りに機能しているかを見直しましょう。特にIPアドレスの設定は、範囲が広すぎないか、慎重に確認することが重要です。

原因4:パラメータ設定の誤解(UTM、カスタムディメンション)

広告の効果測定に用いるUTMパラメータや、独自のデータを取得するためのカスタムディメンション。これらはGA4の強力な機能ですが、正しく設定しないとデータは空っぽのままです。

【よくあるミス】
・広告URLに付与したUTMパラメータの記述ルールが間違っている(例: utm_sourceとutm_mediumが必須)。
・GTMでカスタムイベントを送信しているが、GA4側で対応する「カスタムディメンション」の登録を忘れている。

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【今すぐできる確認方法】
UTMパラメータ付きのURLは、実際に自分でアクセスしてみて、GA4のリアルタイムレポートで意図したチャネルに分類されるかを確認しましょう。カスタムディメンションは、GA4の[管理] > [カスタム定義]で、送信しているパラメータ名が正しく登録されているかを確認してください。データがGA4に届いてからレポートに反映されるまでには、最大48時間ほどかかる場合があることも覚えておきましょう。

原因5:ユーザー環境とGA4側の仕様変更

自分たちの設定は完璧だと思っていても、ユーザーのブラウザ環境やGA4自体のアップデートによって計測が妨げられるケースもあります。

【よくあるミス】
・AppleのITP(Intelligent Tracking Prevention)など、ブラウザのプライバシー保護機能強化により、Cookieを利用した計測の精度が低下している。
・同意管理(CMP)ツールの設定ミスで、ユーザーが同意しない限りタグが発火しない状態になっている。

【今すぐできる確認方法】
これは特定が難しい問題ですが、特定のブラウザ(例: Safari)やデバイス(例: iPhone)からのデータだけが極端に少ない、といった傾向がないかを確認してみましょう。また、Googleの公式ブログなどで、GA4に関する最新の仕様変更やアップデート情報を定期的にチェックする習慣も大切です。

計測トラブルを未然に防ぐための「プロの習慣」

ここまで原因と対策をお話ししてきましたが、最も大切なのは、トラブルが起きてから慌てるのではなく、未然に防ぐための仕組みと心構えを持つことです。

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実は、私にも苦い失敗経験があります。ある重要なクライアントで新しいGA設定を導入した直後、営業的なプレッシャーもあり、データが十分に蓄積されるのを待たずに不確かなレポートを提出してしまったのです。しかし翌月、十分なデータが溜まると、全く違う傾向が見えてきました。前月のデータは、TVCMによる一時的な異常値に過ぎなかったのです。この一件で、私はクライアントの信頼を大きく損なってしまいました。

この経験から学んだのは、データアナリストは「待つ勇気」を持たなければならないということです。不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ。正しい判断のためには、時にデータが十分に蓄積されるのを待つ誠実さが必要不可欠なのです。

また、定期的な「データの健康診断」も欠かせません。週に一度、あるいは月に一度でも構いません。主要な指標(セッション数、コンバージョン数など)に大きな異常値がないかを確認するだけでも、問題の早期発見に繋がります。データは生き物です。常にその健康状態に気を配ることが、プロとしての重要な習慣だと考えています。

データは「正しく取れてから」が本当のスタートライン

さて、無事に計測できない問題が解決したとしましょう。本当にお疲れ様でした。しかし、私たちの仕事はここで終わりではありません。むしろ、ここからが本当のスタートラインです。

なぜなら、私たちの目的は「数値を改善すること」ではなく、「データを使ってビジネスを改善すること」だからです。正しく計測できるようになった羅針盤を手に、いよいよ本格的な航海が始まります。

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ここで陥りがちなのが、「とにかくサイトのデザインをリッチにしよう」「新しい機能を追加しよう」といった、見た目の派手な施策に飛びついてしまうことです。しかし、本当に効果的な施策は、もっと地味で、もっと簡単なことかもしれません。

以前、あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの遷移率がどうしても上がらない、というご相談を受けました。担当者の方は、様々なバナーデザインをABテストしていましたが、成果は芳しくありませんでした。そこで私たちが提案したのは、たった一つ。「バナーをやめて、記事の文脈に合わせたごく自然なテキストリンクに変えましょう」というものでした。結果、遷移率は0.1%から1.5%へと、実に15倍に向上したのです。

この事例が教えてくれるのは、「簡単な施策ほど正義」という価値観です。ユーザーにとって重要なのは、派手なデザインよりも、その情報が自分にとって必要かどうかです。常に「最も早く、安く、簡単に実行できて、効果が大きい施策は何か?」という視点を忘れないでください。

明日からできる、最初の一歩

ここまで長い道のりでしたが、お付き合いいただきありがとうございます。「GA4で計測できない」という問題は、多くの担当者が直面する高い壁です。しかし、その原因は必ずどこかに潜んでいます。

この記事を読み終えたあなたが、明日からできる「最初の一歩」。それは、Googleの公式ツール「Tag Assistant」を使って、ご自身のサイトの計測状況を確認してみることです。もしそこに赤いエラー表示があれば、それが解決への大きな手がかりとなります。

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一つひとつの原因を丁寧につぶしていけば、あなたの羅針盤は必ず再び正しい方角を示し始めます。そして、もし「原因は分かったけれど、自社の体制では修正が難しい」「もっと根本的にデータ活用を見直したい」と感じたなら、いつでも私たちにご相談ください。

私たちは、あなたのビジネスという船が、データという羅針盤を正しく使いこなし、目的地へと力強く進んでいくための、経験豊富な航海士でありたいと願っています。

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