そのデータ、本当に伝わっていますか?インフォグラフィック動画で「伝わる」から「動かす」へ
「この分析結果、どうすれば魅力的に伝えられるだろう…」
ウェブ解析に携わるあなたが、夜を徹して導き出した貴重なデータ。しかし、その価値が役員会議やチームMTGで十分に伝わらず、もどかしい思いをした経験はありませんか?
こんにちは。株式会社サードパーティートラストでアナリストを務めております。私は20年間、ECサイトからBtoB、メディアまで、様々な業界でデータと向き合い、ビジネスを立て直すお手伝いをしてきました。
多くの現場で目にしてきたのは、せっかくの素晴らしい分析が「数字の報告」で終わってしまい、ビジネスの血肉になっていないという現実です。データは、それ自体が答えなのではありません。私は、「データとは、人の内心が可視化されたもの」だと信じています。その数字の裏にあるお客様の喜び、迷い、期待を読み解き、物語として語ることで、初めてデータは人を動かす力を持つのです。
この記事では、その「物語」を語るための極めて強力な手法、インフォグラフィック動画について、私の経験と考えを交えながら深くお話しします。単なるツールの紹介ではなく、あなたの分析がビジネスを動かすための「武器」になる、そのための思考法をお伝えします。ぜひ、最後までお付き合いください。
インフォグラフィック動画とは?単なる「見せる化」ではない、ビジネスを動かす「物語」
「インフォグラフィック動画」と聞くと、グラフやイラストをアニメーションにした「見栄えの良い資料」を想像されるかもしれません。もちろん、それも一つの側面ですが、本質はもっと奥深いところにあります。

私たちが考えるインフォグラフィック動画とは、「データに基づいた物語を、最も直感的に伝えるための映像表現」です。静止画の資料との決定的な違いは、「時間軸」という要素が加わること。これにより、単なるスナップショットではなく、原因と結果、変化の過程、そして未来への示唆といった「ストーリー」を語ることが可能になります。
人間の脳は、無味乾燥な数字の羅列よりも、感情を揺さぶる物語に強く惹きつけられます。例えば、あるECサイトの月次報告。単に「先月の売上は120%増でした」と報告するだけでは、「ふーん、良かったね」で終わってしまうかもしれません。
しかし、インフォグラフィック動画ならこう語れます。「キャンペーン開始直後、SNS広告経由の20代女性のアクセスが急増。彼女たちが最初に見た商品Aから、関連商品Bへの回遊率が非常に高く、これが客単価を押し上げました。結果、売上は120%を達成。この『黄金ルート』を強化すれば、来月は130%も狙えます」――。どうでしょうか。単なる報告が、具体的な次のアクションに繋がる「生きた情報」に変わったと思いませんか?
これが、私たちが15年間こだわり続けてきた「ビジネスの改善を目的とする」データ活用の真髄です。インフォグラフィック動画は、そのための最も強力なコミュニケーションツールの一つなのです。
なぜ今、インフォグラフィック動画なのか?ビジネスを変革する3つの活用シーン
では、具体的にどのような場面でインフォグラフィック動画は力を発揮するのでしょうか。ここでは、私が実際に経験してきた代表的な3つのシーンをご紹介します。

1. 意思決定のスピードを上げる「経営層へのレポーティング」
多忙な経営層は、分厚いレポートを読み込む時間がありません。彼らが求めるのは「で、結局どうすればいいのか?」という明確な答えです。私が担当したある企業では、複雑な市場調査データを2分間のインフォグラフィック動画に集約。競合の動きと自社のポジショニングの変化を視覚的に示した結果、その場で次の戦略投資へのゴーサインが出ました。以前は数週間かかっていた意思決定が、わずか数分で完了したのです。
2. 組織の壁を越える「部門間の共通言語」
「あの分析レポート、専門用語が多くてよく分からなかった」。これは、私がクライアントの現場でよく耳にする言葉です。どんなに優れた分析も、受け手に伝わらなければ価値はありません。あるクライアントでは、サイトのボトルネックとなっていた入力フォームの改修が、管轄部署の違いから長年進んでいませんでした。
そこで私たちは、ユーザーがフォームのどこで離脱しているかを克明に記録したデータを、感情的なセリフや効果音を加えたインフォグラフィック動画で再現しました。その「悲劇の物語」を見た関係者は、初めて問題を自分事として捉え、部署の壁を越えて協力。長年の課題は、あっという間に解決へと向かいました。
3. 顧客の心を掴む「マーケティング・採用活動」
インフォグラフィック動画は、社内だけでなく社外にも絶大な効果を発揮します。自社製品やサービスの複雑な仕組みやメリットを、物語として分かりやすく伝えることで、顧客の理解度と共感を一気に高めることができます。また、企業のビジョンや事業の社会的意義を動画で語ることは、優秀な人材を惹きつける強力な採用ツールにもなり得ます。
成果を出す動画の作り方:ツールよりも大切な「たった一つ」のこと
「よし、うちも作ってみよう!」そう思われたかもしれません。しかし、ここで一つ、非常に重要なことをお伝えしなければなりません。それは、「いきなり動画制作ソフトを触らない」ということです。

多くの失敗は、目的が曖昧なまま「とりあえず作ってみる」ことから始まります。それは、レシピを持たずに高級食材を調理するようなもの。結果は推して知るべしです。私たちが最も重要視するのは、動画制作の前段階である「設計」です。
料理に例えるなら、まず「誰に(ターゲット)、どんな気持ちになってほしくて(目的)、何を作るか(コンセプト)」を決めること。そして、そのための「レシピ(シナリオ)」を練り上げること。これが全てです。
明日からあなたができる、最も簡単で効果的な「設計」は、一枚の紙を用意し、以下の3つを書き出すことです。
- この動画を、誰に届けたいのか?(例:経営層、営業担当者、見込み顧客)
- その人に、何を感じてほしいのか?(例:危機感、期待感、共感)
- そして、どんな行動をとってほしいのか?(例:予算の承認、新ツールの利用、問い合わせ)
これが明確になって初めて、シナリオ構成やデザイン、そしてツール選びといった次のステップに進めます。Adobe After Effectsのようなプロ向けソフトもあれば、Canvaのように手軽に始められるツールもあります。しかし、ツールの性能よりも、この「誰に、何を、どう伝えるか」という設計思想の方が、成果を100倍左右すると断言できます。
よくある失敗から学ぶ、成功への最短ルート
インフォグラフィック動画は強力な武器ですが、使い方を誤れば無用の長物、あるいは逆効果にさえなりかねません。ここでは、私がこれまで見てきた数々の失敗例と、それを乗り越えるための知恵を共有します。

失敗例1:情報を詰め込みすぎた「自己満足動画」
「あれも伝えたい、これも重要だ」と、分析官の熱意が空回りし、情報過多で分かりにくい動画になってしまうケースです。視聴者は数秒で興味を失い、結局何も伝わりません。
【対策】メッセージは一つに絞る勇気を持つこと。動画の目的が「危機感の共有」なら、それ以外のデータは大胆に削ぎ落とす。言いたいことを10から3に減らすことで、伝わる力は100になります。
失敗例2:目的と手段が入れ替わった「お飾り動画」
「かっこいい動画を作ること」自体が目的になってしまい、肝心のビジネス課題の解決に繋がらないパターンです。見た目はリッチでも、誰の心も動かさなければ、それは高価な置物と同じです。
【対策】常に「この動画で、誰にどう動いてほしいのか?」という原点に立ち返ることです。時には、派手なアニメーションより、シンプルなテキストとグラフが動くだけの動画の方が、はるかに雄弁なことがあります。「簡単な施策ほど正義」というのが私の信条です。
失敗例3:作りっぱなしの「一発花火動画」
動画を公開して満足し、効果測定を一切行わないケースです。これでは、何が良くて何が悪かったのか分からず、次の改善に繋がりません。
【対策】インフォグラフィック動画は、作って終わりではなく、育てていくものです。
気になる費用と制作体制:内製か外注か?
「制作費用はどれくらいかかるのか?」これは当然の疑問でしょう。インフォグラフィック動画の費用は、まさにピンキリです。数万円で内製できるシンプルなものから、数百万円かかる映画のような大作まで様々です。
ここで重要なのは、「コスト」だけで判断しないことです。内製は安価に見えますが、担当者の学習コストや人件費、そして何より「時間」という最も貴重なリソースを消費します。一方、外注は費用がかかりますが、プロの知見と技術を時間で買うことができます。

どちらを選ぶべきか。その判断基準は、「その動画で達成したいビジネス目標の重要度と緊急度」です。会社の未来を左右するような重要なプレゼンであれば、プロに投資する価値は十分にあります。逆に、定例のチーム内共有であれば、PowerPointのアニメーション機能で十分かもしれません。
もし外注を検討されるなら、複数の制作会社から提案と見積もりを取ることをお勧めします。その際、単に価格だけでなく、「自社のビジネス課題をどれだけ深く理解してくれているか」という視点でパートナーを選ぶことが、費用対効果を最大化する鍵となります。
インフォグラフィック動画の未来と、私たちの役割
AIやVRといった技術の進化は、データ可視化の世界をさらに面白くしていきます。AIが膨大なデータからインサイトを抽出し、動画の「たたき台」を自動生成する。私たちはその中から、ビジネスの文脈に合う物語を選び、磨き上げる。そんな未来がすぐそこまで来ています。
また、視聴者が動画に触れて操作できる「インタラクティブ動画」は、データへの理解を「体験」のレベルまで引き上げるでしょう。顧客一人ひとりの興味に合わせて内容が変わる「パーソナライズ動画」は、データが究極の「おもてなし」に変わる瞬間かもしれません。
しかし、どんなに技術が進歩しても、変わらないことがあります。それは、「データから人の心を読み解き、物語を紡ぐ」という、私たちアナリストの役割です。

株式会社サードパーティートラストは、単なる動画制作会社ではありません。私たちは、あなたのビジネスに深く寄り添い、データという羅針盤を使って、共に航海するパートナーです。
明日からできる、あなたのビジネスを変える「最初の一歩」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。インフォグラフィック動画の可能性を感じていただけたでしょうか。
さて、最後のコンサルティングです。この記事を閉じた後、あなたに取ってほしい「最初の一歩」をお伝えします。
それは、「あなたが今、社内で『伝えるのが難しい』と感じているデータを一つ、思い浮かべてみること」です。それは、複雑な分析レポートかもしれませんし、停滞しているプロジェクトの進捗報告かもしれません。
そして、考えてみてください。「このデータを、もし一本の映画にするとしたら、どんなストーリーになるだろうか?」と。主人公は誰で、どんな壁にぶつかり、どう乗り越えていくのか。その物語を想像することこそ、あなたの分析がビジネスを動かすための、最も重要なスタートラインです。

もし、その物語の描き方で迷ったり、より強力な表現方法を知りたくなったりした時は、いつでも私たちにご相談ください。20年間、データと人の心に向き合ってきた私たちが、あなたのビジネスに最適なストーリーテリングをご提案します。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
まずはお気軽にご相談ください。あなたのビジネス課題をヒアリングし、インフォグラフィック動画がどのように貢献できるか、具体的な道筋を一緒に描かせていただきます。