データは「宝の山」か「ゴミの山」か? 20年現場に立つアナリストが語る、マーケティング成功を導くデータ連携の本質
「顧客データはある。でも、宝の持ち腐れになっている気がする…」
「データ分析はしているものの、それが本当に売上に繋がっているのか、確信が持てない…」
もしあなたが、マーケティングの現場で、あるいは経営者として、このような壁に突き当たっているのなら。この記事は、きっとあなたのためのものです。
こんにちは。株式会社サードパーティートラストで、Webアナリストをしている者です。ウェブ解析の世界に足を踏み入れてから20年。EC、メディア、BtoBと、業界を問わず、数えきれないほどの「Webサイトの課題」と向き合ってきました。
私がこの20年間、一貫して信じ続けてきたことがあります。それは、「データとは、人の内心が可視化されたもの」だということです。数字の羅列の向こう側には、必ず生身のユーザーの喜び、迷い、期待といった感情が隠されています。その物語を読み解くことこそ、私たちの仕事の神髄です。

そして、その物語を読み解くための「鍵」となるのが、今回お話しする「データ連携」なのです。この記事では、小手先のテクニックではなく、あなたのビジネスを根幹から変える、データとの向き合い方について、私の経験のすべてを込めてお話しします。
そもそもデータ連携とは何か? なぜ今、マーケティングの「心臓部」なのか
「データ連携」と聞くと、何やら難しそうな専門用語に聞こえるかもしれませんね。しかし、その本質は驚くほどシンプルです。
料理に例えるなら、最高の料理を作るためには、厨房のあちこちに散らばった最高の食材(データ)を、一つの調理台に集める必要がありますよね。データ連携とは、まさにこの「食材集め」のプロセスです。
Webサイトのアクセスログ、広告の成果データ、顧客管理システム(CRM)の情報、店舗のPOSデータ…。これらは本来、別々の場所に保管されています。データ連携は、これらの点と点を繋ぎ合わせ、一人の顧客の行動を、一連のストーリーとして浮かび上がらせるための、いわば「翻訳機」のような役割を担います。
なぜ、これがマーケティングの「心臓部」とまで言えるのか。それは、顧客の行動がかつてなく複雑化しているからです。Webサイトを見て、SNSで口コミを調べ、実店舗で商品を確かめ、最終的にECサイトで購入する。そんな複雑な道のりを、私たちはデータという糸を頼りに追いかけなければなりません。

この糸が途切れ途切れでは、顧客が「なぜ買ってくれたのか」「なぜ離脱してしまったのか」という、最も知りたい核心部分が永遠に謎のまま。それでは、効果的な次の一手など打てるはずもありません。
「データのサイロ化」という名の壁。多くの企業が陥る罠とその乗り越え方
データ連携の重要性はわかっていても、多くの企業がその実現に苦しんでいます。私がこれまで見てきた中で、最も根深く、そして深刻な課題が「データのサイロ化」です。
「サイロ」とは、家畜の飼料などを貯蔵する塔のこと。転じて、組織内で情報が孤立し、共有されていない状態を指します。マーケティング部が持つ広告データ、営業部が持つ顧客情報、カスタマーサポート部が持つ問い合わせ履歴。それぞれが貴重なデータであるにも関わらず、壁に隔てられ、連携が取れていないのです。
こうなると、マーケティング部が見ている顧客像と、営業部が接している顧客像が、まるで別人のようになってしまう、という笑えない事態が起こります。これでは、一貫性のある顧客体験など提供できるはずがありません。
実は、私にも苦い経験があります。あるクライアントで、明らかにコンバージョンフォームに根本的な課題がありました。しかし、その管轄は別の部署。組織的な抵抗を恐れた私は、その指摘を避けてしまいました。結果、1年経っても本質的な改善はなされず、膨大な機会損失を生み続けたのです。

この失敗から学んだのは、アナリストは時に、嫌われる勇気を持たねばならない、ということです。データのサイロ化の根本原因は、多くの場合、技術ではなく組織の壁にあります。「ここを直さなければ、ビジネスは前に進めない」という課題からは、決して目を背けてはならない。それが、データと顧客に誠実であることの証だと、私は信じています。
データ連携が拓く未来:「顧客の内心」を読み解き、ビジネスを動かす力
さて、組織の壁を乗り越え、データ連携が実現した先には、どのような未来が待っているのでしょうか。それは単なる業務効率化にとどまらない、ビジネスの可能性そのものを広げる世界です。
第一に、顧客理解の「解像度」が劇的に向上します。 これまでバラバラだった情報が繋がることで、「この広告を見てサイトを訪れ、この記事を熟読し、3日後にメルマガ経由で購入に至った」といった、顧客一人ひとりの詳細なジャーニーが見えるようになります。
私たちはこのアプローチで、行動データだけでは見えなかった「なぜ?」を解明するために、サイト内アンケートツールを自社開発しました。GA4のデータと、「家族構成」や「購買動機」といった生々しい定性データを掛け合わせることで、ペルソナはもはや想像の産物ではなく、データに裏付けられたリアルな顧客像へと生まれ変わります。

そして何より、データ連携はマーケティング データサイエンティストという専門家が、その能力を最大限に発揮するための土台となります。彼らは、整備されたデータという名のグランドで、初めて最高のパフォーマンスを見せてくれるのです。
見て見ぬ振りの代償は大きい。データ連携なきマーケティングの末路
逆に、もしデータ連携という課題から目を背け、「今のままでいい」と現状維持を選んだとしたら、どのようなリスクが待ち受けているのでしょうか。
それは、情報が散らばったパズルを、いつまでも手探りで組み合わせようとするようなものです。競合他社がデータに基づいた的確なアプローチで顧客を獲得していく中、あなたの会社は勘と経験だけを頼りに、非効率な戦いを強いられることになります。
私がキャリアの初期に犯した過ちの一つに、「データの未熟さ」を無視したことがあります。新しい設定を導入したばかりでデータが不十分と知りつつ、クライアントを喜ばせたい一心で、不正確な分析レポートを提出してしまったのです。翌月、データが蓄積されると全く違う傾向が見え、私の提案が誤りだったことが判明。信頼を大きく損ないました。
この経験は、私に「待つ勇気」を教えてくれました。不確かなデータで語ることは、羅針盤を持たずに嵐の海へ漕ぎ出すようなもの。データ連携を怠るということは、企業全体で、この無謀な航海を続けることに他なりません。その先にあるのは、機会損失や無駄なコストといった、避けられたはずの座礁です。

明日から始めるデータ連携。失敗しないための「現実的な」ロードマップ
「重要性はわかった。でも、どこから手をつければいいのか…」と感じているかもしれませんね。ご安心ください。データ連携は、何もいきなり大規模なシステムを導入する必要はないのです。大切なのは、「小さく始めて、賢く育てる」という視点です。
私たちの信条は、【できるだけコストが低く、改善幅が大きいものから優先的に実行する】ことです。あなたのビジネスに合わせた、現実的なロードマップを描きましょう。
- ステップ1:目的の明確化(羅針盤の設定)
まず、「データ連携で何を達成したいのか?」を具体的に定義します。「顧客のLTV(生涯価値)を10%向上させる」「休眠顧客の掘り起こしに繋げる」など、ビジネスの言葉でゴールを設定することが、プロジェクトが迷走しないための最も重要なアンカーとなります。 - ステップ2:データの棚卸し(現在地の確認)
社内のどこに、どんなデータが眠っているのかをリストアップします。このとき、完璧を目指す必要はありません。まずはマーケティング部と営業部が持っているExcelファイルやスプレッドシートを突き合わせるだけでも、驚くほどの発見があるはずです。 - ステップ3:スモールスタート(最初の一歩)
いきなり高価なツールを導入するのではなく、例えばGoogleのLooker Studio(旧データポータル)のような無料で使えるツールを使い、手動で連携させてみることから始めましょう。この小さな成功体験が、次のステップへの推進力になります。 - ステップ4:効果検証と拡張(航路の最適化)
小さな連携で得られたインサイトを元に、どのデータ連携 ビジネスインパクトが大きいかを見極めます。効果の高いものから、徐々に連携の仕組みを自動化・システム化していく。この繰り返しが、失敗しないための王道です。
もし、あなたが一人で地図を広げ、途方に暮れているのなら
ここまで、データ連携の本質から具体的な進め方までお話ししてきました。しかし、この記事を読んでもなお、「自社の場合、具体的にどうすれば…」と、一人で大きな地図を広げて途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。
私たち株式会社サードパーティートラストは、ツールを売る会社ではありません。私たちは、あなたの会社の「外部アナリストチーム」として、ビジネスの成功まで伴走するパートナーです。
私たちの強みは、20年という経験の中で培われた「本質を見抜く力」です。複雑に絡み合ったデータの中から、ビジネスを動かすため本当に重要な要素だけを抜き出し、誰もが理解できるシンプルな改善策に落とし込む。必要であれば、そのための分析手法やツールを自ら発明することも厭いません。

私たちは、単にレポートを提出して終わり、にはしません。データから読み取った顧客の内心を元に、あなたの会社の組織体制や予算、メンバーのスキルまで考慮した上で、「今、本当にやるべきこと」を、熱意をもって提案します。
最後に:データという羅針盤を手に、明日へ踏み出すあなたへ
データ連携は、もはや一部の先進企業だけのものではありません。あらゆるビジネスにとって、顧客と深く繋がり、変化の激しい時代を生き抜くための必須スキルです。
それは、決して難しい魔法ではない。点在する顧客の「声」に耳を傾け、それらを繋ぎ合わせて一つの「物語」として理解しようとする、誠実な姿勢そのものです。
この記事を読んでくださったあなたが、明日から踏み出せる「最初の一歩」は何でしょうか。
それは、「隣の部署の同僚に、どんなデータを持っているか聞いてみること」かもしれません。あるいは、「今あるExcelデータを、違う視点でグラフにしてみること」かもしれません。その小さな一歩が、あなたのビジネスを未来へと導く、大きな変化の始まりになるはずです。

もし、その旅の途中で専門家の視点が必要になったなら、いつでも私たちを頼ってください。あなたのビジネスに眠る「宝の山」を、一緒に見つけにいきましょう。
まずは、無料相談から始めてみませんか? あなたのビジネスが抱える課題を、ぜひ一度お聞かせください。