サイト 分析資格は“宝の持ち腐れ”? 20年のプロが語る、ビジネスを動かす本当の活かし方

「Webサイトのアクセス数は増えたのに、なぜか売上が伸びない…」
「データ分析が重要とは分かっているけれど、何から手を付けていいのか皆目見当もつかない…」

Webサイトの運営に情熱を注ぐあなただからこそ、このような壁に突き当たっているのではないでしょうか。こんにちは、株式会社サードパーティートラストでWebアナリストを務めております。私は20年以上にわたり、ECからBtoBまで、様々な業界のWebサイトが抱える課題と向き合ってきました。

その長い道のりの中で確信したことがあります。それは、多くの課題の根源が「Webサイトという“お客様の声”が詰まった宝の山を、正しく読み解けていない」ことにある、という事実です。そして、その読み解く力を体系的に身につけるための一つの有効な羅針盤が、「サイト 分析 資格」の取得なのです。

しかし、ただ資格を取るだけでは意味がありません。この記事では、資格取得がゴールではなく、いかにしてそれをビジネスの血肉に変えていくか、という「活きた知識」について、私の経験を交えながら深く、そして具体的にお話しします。この記事を読み終える頃には、データ分析への漠然とした不安が、確かな戦略を描くためのワクワクとした期待に変わっているはずです。

資格は必須か?―「勘と経験」から「共通言語」で語る組織へ

「サイト分析に資格は必須ですか?」これは、非常によくいただく質問です。結論から言えば、必須ではありません。資格がなくても、素晴らしい成果を上げている担当者はいらっしゃいます。

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ですが、私はあえて「ビジネスを本気で成長させたいなら、取得を強く推奨します」とお答えしています。なぜなら、資格取得の本当の価値は、個人のスキルアップ以上に、組織内に「データに基づいた共通言語」を築くことにあるからです。

かつて私が担当したある企業では、Web施策の評価が「デザインが良い」「なんとなく格好いい」といった感覚的な言葉で交わされていました。これでは、施策の良し悪しを客観的に判断できず、議論は平行線をたどるばかり。まさに「船頭多くして船山に登る」状態でした。

そこで、Web担当チームに資格取得を推奨し、学習をサポートしました。数ヶ月後、彼らの会話は一変します。「このページの直帰率が高いのは、流入元の広告文とコンテンツの期待感がズレているからではないか」「コンバージョンしたユーザーは、このコンテンツを閲覧する傾向が強い」――。データという客観的な事実(ファクト)を基に、建設的な議論が生まれたのです。

資格は、いわばWebサイトという複雑な世界を旅するための「地図の読み方」を学ぶようなもの。地図が読めれば、チーム全員が同じ目的地を目指し、最短ルートを議論できるようになります。その投資は、必ずやビジネス成長という形で何倍にもなって返ってくるのです。

あなたに合うのはどれ?主要なWebサイト分析資格とその選び方

「サイト 分析 資格」と一言で言っても、その種類は様々です。ここでは代表的な2つの資格を例に、どのような方に、どちらが向いているのかを解説します。大切なのは、「何のために学ぶのか」という目的を明確にすることです。

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Google Analytics Individual Qualification (GAIQ) ― 現場の実践力を磨く

GAIQは、世界で最も利用されているアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」の習熟度を証明するGoogle公式の資格です。ツールの使い方からレポートの読み解き方、計測の仕組みまで、実践的な知識が問われます。

こんな方におすすめ:

  • 日々Googleアナリティクスを使い、レポート作成や分析を行っているWeb担当者
  • データを見て「何が起きているか」を正確に把握するスキルを高めたい方
  • まずは無料で取得できる資格から、分析の第一歩を踏み出したい方

GAIQは、いわば「優れた調理器具(Googleアナリティクス)の正しい使い方」を学ぶようなものです。この資格の勉強を通じて、これまで何となく見ていたレポートの数字が、何を意味しているのかを深く理解できるようになります。「この数字の変動は、あの施策が原因だったのか!」という発見は、分析の面白さを教えてくれるはずです。

ウェブ解析士 ― ビジネス視点で戦略を描く

ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が認定する資格です。アクセス解析の知識はもちろん、Webマーケティング全体のフレームワークや事業戦略に基づいたKPI 設計など、よりビジネスの上流工程からWebを捉える視点が求められます。

こんな方におすすめ:

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  • Webサイトの責任者や、マーケティング 戦略全体を考える立場の方
  • 経営層に対して、データを用いて説得力のある提案をしたい方
  • Webサイトの数値を、事業全体の成果(KGI)にどう結びつけるかを学びたい方

ウェブ解析士は、単なる調理器具の使い方ではなく、「お客様(ユーザー)が本当に食べたいものは何かを考え、最高のコース料理を設計するレシピ作り」を学ぶことに似ています。私が信条とする「数値の改善を目的としない。ビジネスの改善を目的とする」という哲学を実践する上で、非常に親和性の高い資格と言えるでしょう。

以前、あるクライアントの担当者が「GAIQは取ったけれど、結局何を改善すれば売上に繋がるのか分からない」と悩んでいました。彼にウェブ解析士の学習を勧めたところ、「事業全体の中で、Webサイトが果たすべき役割が初めて分かった」と目を輝かせていました。ツールの知識(点)とビジネスの視点(点)が繋がり、成果への道筋(線)が見えた瞬間でした。

資格取得の真の価値 ― データは「人の内心」を可視化した物語

資格を取得し、分析スキルが身につくと、あなたのビジネスには具体的にどのような変化が訪れるのでしょうか。それは単に「コンバージョン率が〇%上がった」という結果だけではありません。

私が創業以来、一貫して掲げてきた信条は「データは、人の内心が可視化されたものである」というものです。セッション数やPV数といった無機質な数字の羅列は、それ自体に意味はありません。その一行一行が、画面の向こうにいる一人の人間の「迷い」「期待」「喜び」といった感情の現れなのです。

資格学習を通じて得られる本当の価値とは、この「数字の裏にある物語」を読み解く力です。

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例えば、「特定のページの離脱率が高い」というデータがあったとします。以前のあなたなら「このページは人気がないな」で終わっていたかもしれません。しかし、分析スキルを身につけたあなたはこう考えます。「このページに来るユーザーは、直前のページで『〇〇』という情報を期待していたはずだ。しかし、このページにはその答えがない。だから、期待を裏切られて去ってしまったのではないか?」と。

ここまでユーザーの心理を想像できれば、打つ手は明確です。期待に応えるコンテンツを追加する、あるいは別のページへ分かりやすく誘導する。このように、データからユーザーの感情を読み解き、仮説を立て、施策を実行する。このサイクルこそが、Webサイトを、ひいてはビジネスそのものを着実に成長させるエンジンとなるのです。

資格なき航海のリスク ― 「勘」という名の羅針盤なき漂流

逆に、もし体系的な知識を持たずに「勘と経験」だけを頼りにWebサイト運営を続けると、どのようなリスクがあるのでしょうか。それは、羅針盤も海図も持たずに、大海原へ航海に出るようなものです。

私がキャリアの浅い頃に犯した、忘れられない失敗があります。あるクライアントからデータ活用を強く期待され、焦りを感じていました。まだデータの蓄積が不十分だと頭では分かっていながら、「きっとこうに違いない」という希望的観測で不正確な分析レポートを提出してしまったのです。

翌月、十分なデータが蓄積されると、全く違う傾向が見えてきました。前月のデータは、特殊な要因による一時的な異常値だったのです。私の提案は完全に的外れでした。この一件で、私はクライアントの信頼を大きく損なってしまいました。「不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ」。アナリストに必要な「待つ勇気」を、痛みを伴って学んだ経験です。

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正しい知識がなければ、何が「正しいデータ」で何が「ノイズ」なのかを見分けることすらできません。誤ったデータ解釈は、時間と予算を無駄にするだけでなく、時としてビジネスを間違った方向へ導く危険すら孕んでいるのです。

明日からできる、最初の一歩

ここまで読んでくださったあなたは、きっと「サイト 分析 資格」への見方が少し変わったのではないでしょうか。資格は、あなたのキャリアを証明するバッジであると同時に、ビジネスを成功へと導くための強力な武器にもなり得ます。

しかし、いきなり分厚いテキストを開く必要はありません。資格取得という山頂を目指す前に、まずは麓からできることがあります。

明日、あなたに試していただきたい「最初の一歩」。それは、「自社のWebサイトが、誰に、何を達成してもらうための場所なのか」を、たった一文で言語化してみることです。そして、その一文を、あなたの部署のメンバーが全員、同じように言えるかを確認してみてください。

もし、答えがバラバラだったり、誰も答えられなかったりしたら、それがあなたの会社の現在地です。まず目指すべきゴール(KGI)の認識を揃えること。そこからが、データに基づいたサイト改善の本当のスタートラインです。

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もし、そのゴールの設定や、そこへ至るまでの地図の描き方で迷うことがあれば、いつでも私たちにご相談ください。20年間、数々の企業の航海をサポートしてきた経験豊富なアナリストが、あなたのビジネスに最適な羅針盤を一緒に見つけ出すお手伝いをいたします。

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