なぜあなたの記事は成果に繋がらないのか?データから「ユーザー心理」を読み解く、本当の記事効果測定

「渾身の記事を公開したのに、問い合わせは増えないし、売上にも繋がらない…」。コンテンツ作りに励む多くのマーケターの方や経営者の方から、こうした切実な声を伺ってきました。費やした時間と労力が成果として見えなければ、改善の打ちようもなく、やがては心が折れてしまいますよね。

こんにちは。株式会社サードパーティートラストのアナリストです。私は20年以上にわたり、ECサイトからBtoB、メディアまで、あらゆる業界でデータと向き合い、数々の事業を立て直すお手伝いをしてきました。

もしあなたが今、成果の出ないコンテンツに頭を悩ませているのなら、それはあなたの努力や才能が足りないからではありません。恐らく、進むべき道を照らす「羅針盤」が、少し曇っているだけなのです。この記事では、その羅針盤を磨き上げる「記事効果測定」の本質について、私の経験を交えながらお話しします。単なる数字の追い方ではありません。データの奥にある“人の心”を読み解き、ビジネスを動かすための実践的なアプローチです。

そもそも「記事効果測定」が上手くいかない根本原因とは?

「記事効果測定」とは、公開した記事がビジネスにどれだけ貢献したかを数字で把握し、次の一手を考えるための活動です。それはまるで、航海の途中で現在地と目的地を確認するような、事業運営に不可欠な行為と言えます。

しかし、多くの現場でこの効果測定が形骸化してしまっているのも事実です。「PV数は増えたけど、売上は変わらない」「どの指標を見ればいいのか分からない」…なぜ、こうした事態に陥るのでしょうか。

ハワイの風景

私の経験上、原因は大きく二つあります。一つは「目的と指標がずれている」こと。もう一つは、私たちが創業以来掲げてきた信条でもある「データは、人の内心が可視化されたものである」という視点の欠如です。

例えば、「認知度向上」が目的なのに「成約数」ばかり見て一喜一憂したり、「売上向上」が目的なのに「PV数」の増減だけで評価したり…。これでは、正しい判断はできません。サッカーで言えば、ゴール(KGI)を目指しているのに、パスの回数(モニタリング指標)だけを評価しているようなものです。

大切なのは、まずあなたのビジネスのゴールを明確に定め、そこから逆算して「何を測るべきか」を設計すること。そして、数字の変動に一喜一憂するのではなく、「なぜ、この数字が動いたのか?」とその裏にあるユーザーの感情や行動を想像することです。

何を測るべきか?ビジネスを動かす3階層の指標

では、具体的にどんな指標を見ればいいのでしょうか。闇雲に全ての数字を追うのは得策ではありません。ここでは、ビジネスのゴールから逆算する考え方に基づき、指標を3つの階層に分けて整理してみましょう。

1. 【山頂】KGI(Key Goal Indicator):ビジネスの最終目標

これは、あなたのビジネスにおける最終的なゴール、いわば「登るべき山の頂上」です。例えば、「売上」「利益」「成約件数」などがこれにあたります。記事単体で直接この数字を測るのは難しい場合もありますが、常にこのKGIを意識することが、施策が迷子にならないための絶対条件です。

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2. 【登山ルート】KPI(Key Performance Indicator):目標 達成のための中間指標

KGIという山頂にたどり着くための、重要なチェックポイント(中間目標)がKPIです。例えば、「お問い合わせ件数」「資料ダウンロード数」「メルマガ登録者数」といった、ビジネスの成果に直結するユーザーのアクションがこれにあたります。

私たちは、このKPIを最も重視します。なぜなら、KPIの改善こそが、ビジネスの改善に直結するからです。CPA(顧客獲得単価)やCVR(コンバージョン率)といった指標を注意深く観察し、「どうすればもっと多くの人に、このチェックポイントを通過してもらえるか?」を考え抜きます。

3. 【日々の体調管理】モニタリング指標:コンテンツの健康状態

PV数、セッション数、直帰率、滞在時間、検索順位、SNSでのシェア数などは、コンテンツの「健康状態」を測るための指標です。これ自体がゴールではありませんが、KPIに影響を与える重要なサインを読み取ることができます。

例えば、「滞在時間が極端に短い」のであれば、タイトルと内容が合っていない、あるいは導入部で読者の心を掴めていないのかもしれません。「直帰率が高い」のは、読者が「この記事は私の求めていた答えと違う」と感じた“無言のフィードバック”と捉えることができます。これらのサインから、ユーザーの内心を想像し、改善の仮説を立てていくのです。

データから改善策を導き出す、プロの思考プロセス

指標を正しく設定できたら、次はいよいよ「分析と改善」のフェーズです。ここでの私たちの信条は、「数値の改善を目的としない。ビジネスの改善を目的とする」こと。そして「簡単な施策ほど正義」という価値観です。

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以前、あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの誘導が大きな課題となっていたクライアントがいました。担当者の方は、何度もバナーのデザインを変えるABテストを繰り返していましたが、遷移率は0.1%から一向に改善しませんでした。

私たちはデータを見て、バナーそのものへのクリックが少ないだけでなく、記事の特定の段落を読んだ後の離脱が多いことに気づきました。そこで提案したのは、派手なバナーを撤去し、その離脱ポイントの直前に、文脈に合わせたごく自然な「テキストリンク」を設置する、という地味な施策でした。

結果は劇的でした。遷移率は1.5%へと15倍に向上したのです。見栄えの良い提案に固執せず、データから読み取ったユーザー 行動に素直に従った結果でした。このように、コストも手間もかからない小さな変更が、最も大きな成果を生むことは珍しくありません。

分析で陥りがちな「罠」と、私たちが学んだ教訓

20年のキャリアの中では、もちろん失敗も数多く経験しました。その中でも、特に皆さんにお伝えしたい教訓が二つあります。

一つは、「正しい判断のためには“待つ勇気”が不可欠」だということです。かつて、新しい計測設定を導入した直後、期待値の高いクライアントから分析を急かされ、データ蓄積が不十分なまま提案をしてしまったことがあります。しかし翌月、十分なデータが溜まると全く違う傾向が見え、前月の提案が特殊要因によるものだったと判明。クライアントの信頼を大きく損ねてしまいました。データアナリストは、時に営業的都合や期待といったノイズからデータを守る最後の砦でなければならない。不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ。この苦い経験は、今も私の心に深く刻まれています。

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もう一つは、「言うべきこと」と「できること」のバランスです。クライアントの組織的な事情を忖度し、根本的な課題への指摘を避けた結果、1年経っても何も改善が進まなかったことがあります。逆に、相手の事情を無視した「正論」ばかりをぶつけ、全く実行されなかった提案も山ほどあります。真のプロフェッショナルとは、顧客の現実を深く理解した上で、実現可能な改善のロードマップを描きつつ、しかし「避けては通れない課題」については、覚悟を持って伝え続ける。このバランス感覚こそが、ビジネスを本当に動かすのだと、今では確信しています。

明日からできる、記事効果測定の「最初の一歩」

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。記事効果測定の重要性や、その奥深さを感じていただけたのではないでしょうか。しかし、大切なのは知識を得ることではなく、行動を起こすことです。

完璧な分析や、高価なツールはまだ必要ありません。まずは、明日からできる「最初の一歩」を踏み出してみませんか?

それは、「あなたのビジネスにとって、最も重要なゴール(KGIまたはKPI)を、たった一つだけ決める」ことです。「売上を上げること」「問い合わせを一件でも多く獲得すること」「メルマガ読者を増やすこと」…なんでも構いません。紙に書き出してみてください。

そして次に、Google Analyticsなどの無料ツールで、そのゴールに「今、最も貢献している記事」はどれかを探してみてください。もし、その探し方が分からなかったり、どの記事も貢献していないように見えたり、あるいはゴールそのものが決められなかったりした時…。それが、私たちのような専門家を頼るタイミングなのかもしれません。

ハワイの風景

私たちは、データという羅針盤を正しく読み解き、あなたのビジネスという船が目的地にたどり着くための航海図を描くお手伝いをしています。もしあなたが本気で現状を打破したいと願うなら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。あなたの熱意あるコンテンツが、正しく評価され、ビジネスを力強く前進させる日が来ることを、心から願っています。

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