「優秀なWebアナリストを採用したいのに、なかなか巡り会えない…」
「面接では手応えを感じたのに、入社後のパフォーマンスが期待と違った…」
企業の成長をデータで牽引するWebアナリスト。その採用の成否がビジネスの行方を左右すると言っても過言ではありません。しかし、多くの経営者やマーケティング責任者の方が、この重要な採用活動で頭を悩ませているのが現実ではないでしょうか。
こんにちは。株式会社サードパーティートラストでアナリストを務めております。20年間、ECからBtoBまで様々な業界で、データと共に企業の課題解決に奔走してきました。
なぜ、あなたの会社の面接では、真に優秀な人材を見抜けないのか。その原因は、多くの場合、面接で確認している「スキル」が表層的だからです。私たちが創業以来15年間、一貫して掲げてきた信条は「データは、人の内心が可視化されたものである」というもの。これは、Webアナリストの採用 面接にも、全く同じことが言えるのです。
この記事では、単なる面接テクニックの話はしません。20年の経験で培った、候補者の言葉の裏にある「思考のプロセス」や「ビジネスへの情熱」を読み解き、貴社にとって最高のパートナーを見つけ出すための、本質的な視点をお伝えします。

Webアナリスト採用の成否は、なぜ「面接」で決まるのか
Webアナリストの採用における面接は、候補者を「評価」する場であると同時に、候補者のポテンシャルを最大限に引き出す「対話」の場でなければなりません。
スキルシートに書かれたツールの使用経験や資格だけを見ていては、その人の本質は見えてきません。大切なのは、そのスキルを使って「何を考え」「どのようにビジネスを動かしてきたか」という物語です。
かつて、あるクライアント企業で、非常に高いポテンシャルを持つ候補者を見過ごしてしまったことがありました。原因は、面接官が候補者の控えめな話し方という「印象」に惑わされ、その発言の裏にある深い洞察力に気づけなかったことでした。採用とは、候補者という「原石」が、自社の「土壌」で輝けるかを見極める作業です。そのためには、面接官自身に、原石の輝きを見抜く力が求められるのです。
面接で見抜くべき、Webアナリストの「3つの本質的スキル」
私たちが20年間、数多くのWebアナリストと対話し、共に仕事をしてきた経験から、本当にビジネスを動かすアナリストには共通する3つのスキルがあると考えています。それは「分析スキル」「翻訳スキル」「課題解決スキル」です。
1. データ分析スキル:数字の羅列から「物語」を紡ぐ力
「Google Analyticsが使えます」というのは、もはやスタートラインに立ったというだけの話です。真に問われるのは、そこから何を見つけ出すか、という力です。

例えば、面接でこう質問してみてください。「もし、あなたが担当するECサイトのコンバージョン率が先月から10%低下していたら、まず何を見ますか?そして、どう考えますか?」
この質問に対して、ただ「参照元別のデータを見ます」「デバイス別のデータを見ます」と答えるだけでは不十分です。優秀なアナリストは、「まず、その10%低下が統計的に意味のある差なのかを確認します。季節要因やセール等のイベントはなかったか? 次に、特定のセグメント(例えば新規ユーザーや特定の流入経路)で大きな変化が起きていないかを切り分け、問題の在り処を絞り込むための仮説を立てます」といった、思考のプロセスを語れるはずです。
私たちは「数値の改善」ではなく「ビジネスの改善」を目的とします。その視点を持っているかどうかが、最初の分かれ道です。
2. コミュニケーションスキル:「翻訳」して仲間を動かす力
どんなに優れた分析も、関係者に伝わり、アクションに繋がらなければ意味がありません。私たちはこのスキルを、単なるコミュニケーション能力ではなく「翻訳スキル」と呼んでいます。
専門用語を並べて悦に入るのは、アナリストとして未熟な証拠です。大切なのは、分析結果が持つ意味を、相手の立場や知識レベルに合わせて「翻訳」できるか。例えば、経営層には「このデータは、事業のこの部分にこれだけのリスク(または機会)があることを示唆しています」と。現場の担当者には「このボタンの色を赤から緑に変えるだけで、これだけの売上向上が見込めます」と、具体的な言葉で伝えられる力です。

かつて、非常に優秀な分析手法を開発したものの、クライアントの担当者以外にその価値が全く伝わらず、宝の持ち腐れになった苦い経験があります。データは、それを受け取った人が行動して初めて価値を生むのです。
3. 問題解決スキル:本質的な「一手」を見つけ出す力
データ分析 課題を発見し、解決策を提示する。このプロセスこそ、Webアナリストの真骨頂です。ここで重要なのは、課題の「本質」を見抜く力です。
例えば、あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの遷移率が低いという課題がありました。多くの人がリッチなバナーデザインへの変更を提案しましたが、一向に改善しませんでした。
そこで私があるクライアントに提案したのは、記事の文脈に合わせた、ごく自然な「テキストリンク」への変更でした。結果、遷移率は15倍に向上しました。派手さはありませんが、これこそがユーザーにとって最も必要な「一手」だったのです。
面接では、「これまでで最も効果的だった施策は何ですか?」と聞いてみてください。その答えが、大規模なシステム改修のような派手な話でなくとも、その施策に至った背景や、なぜそれが「本質的」だと考えたのかを論理的に説明できる人物こそ、信頼に足るアナリストです。

面接官が陥る「よくある失敗」と、それを乗り越える方法
優秀なアナリストを見抜くためには、面接官自身のスキルアップも不可欠です。私自身も、過去には多くの失敗を重ねてきました。
よくある失敗例:なぜ、あなたの面接はうまくいかないのか
- 第一印象や「好み」で判断してしまう: 客観的な評価基準がないまま、「話しやすい」「元気がある」といった主観で判断し、本質的なスキルを見落としてしまうケース。
- 候補者の「本音」を引き出せない: 「あなたの強みは?」といった紋切り型の質問に終始し、候補者が用意してきた答え以上のものを引き出せない。
- 言うべきことを言えない「忖度」: これは私自身の失敗談ですが、クライアントの組織的な事情を「忖度」し、サイトの根本的な課題への言及を避けてしまったことがあります。面接でも同様に、候補者の経歴の気になる点に踏込まず、後でミスマッチに気づくことがあります。
- 自社の魅力を伝えきれない: 面接は「選考」の場であると同時に、企業が候補者に「選ばれる」場でもあります。一方的な質問ばかりで、候補者が「この会社で働きたい」と思えるような情報提供ができていない。
対策:明日からできる、面接 スキルの向上策
これらの失敗を防ぐには、体系的なトレーニングが有効です。例えば、社内で面接のロールプレイングを行うだけでも大きな効果があります。
「もし、このデータを見て、あなたならどうしますか?」といった、実際の業務に近いケーススタディを用意し、候補者の思考プロセスを深掘りする練習をしてみてください。そして、評価は複数人で行い、なぜそう評価したのかをすり合わせることで、個人の主観によるブレをなくしていくのです。
最も重要なのは、面接を「尋問」にしないこと。候補者がリラックスして、自分の考えを存分に話せるような雰囲気を作り、対話を通じてその人の「人間性」や「仕事への情熱」を感じ取ろうと努める姿勢が、何よりも大切です。
もし、スキル不足のアナリストを採用してしまったら…
採用のミスマッチがもたらすリスクは、単に「採用コストが無駄になる」だけではありません。データに基づいた的確な意思決定が遅れ、市場での競争力が低下し、気づかぬうちに莫大な「機会損失」を生み出します。

スキル不足のアナリストは、間違ったデータ解釈から誤った戦略を導き出し、プロジェクト全体を停滞させることさえあります。そうなると、失った時間と信頼を取り戻すには、採用コストの何倍ものエネルギーが必要になってしまうのです。
Webアナリストの採用は、未来への「投資」です。その投資を成功させるためにも、面接という入り口の段階で、いかに本質を見抜くかが重要になります。
次のステップ:あなたの会社の「採用」を「投資」に変えるために
この記事を読んで、Webアナリスト採用の奥深さと、面接の重要性を感じていただけたなら幸いです。
明日からできる最初の一歩として、ぜひ、次回の面接で「もし、あなたならどう考えますか?」という、思考プロセスを問う質問を一つ、加えてみてください。きっと、これまでとは違う候補者の一面が見えてくるはずです。
しかし、採用基準 策定や、候補者のスキルを正確に見極めるケーススタディの設計、そして採用後の育成プランまで、自社だけで行うには限界があるかもしれません。

株式会社サードパーティートラストでは、15年以上にわたるデータ活用の知見を基に、貴社のビジネスを真に成長させるWebアナリストの採用・育成を支援しています。私たちは単に人材を紹介するのではなく、貴社のビジネス課題を深く理解し、組織体制まで踏み込んだ上で、最適なパートナーシップを提案します。
もし、あなたがWebアナリストの採用に本気で向き合い、ビジネスを次のステージへ進めたいとお考えなら、ぜひ一度、私たちにお声がけください。まずは、貴社の現状やお悩みをお聞かせいただくことから始めましょう。