「ウェブサイトのアクセス数は順調に伸びている。でも、なぜか売上や問い合わせが思うように増えない…」
サイト改善の必要性は感じているけれど、膨大なデータのどこから手をつければいいのか、正直なところ分からない」

ウェブサイトの運営に情熱を注ぐあなただからこそ、このような壁に突き当たった経験が一度はあるのではないでしょうか。こんにちは、株式会社サードパーティートラストでWEBアナリストを務めております。20年間、ECサイトからBtoBサイトまで、あらゆる業界でデータと向き合い、数々の事業の立て直しに奔走してきました。

この記事は、過去の私自身や、私が支援してきた多くのクライアント様が抱えていた悩み、つまり「数字は見ているのに、ビジネスが前に進まない」という課題を解決するために筆を執りました。表面的な数字のアップダウンに一喜一憂する日々から抜け出し、ウェブサイトを真にビジネスを成長させるエンジンへと変えるための「評価の視点」について、私の経験のすべてを注ぎ込んでお話しします。ぜひ、最後までお付き合いください。

なぜ「ウェブサイトの評価」がビジネスの明暗を分けるのか?

ウェブサイトの評価項目というと、アクセス数やPV数、直帰率といった言葉を思い浮かべるかもしれません。もちろん、それらも重要な指標の一つです。しかし、それだけを眺めていても、ビジネスの核心にはたどり着けません。

それはなぜか。私が創業以来、一貫して掲げている信条は「データは、人の内心が可視化されたものである」ということです。ウェブサイト上の数字は、単なる無機質な記録ではありません。その一つひとつが、画面の向こうにいる生身の人間が「何に興味を持ち」「何に悩み」「何を期待して」あなたのサイトを訪れたのかを示す、貴重な”声”なのです。

ハワイの風景

例えば、アクセス数が多いのは、レストランにたくさんのお客様が来店してくれているのと同じです。しかし、それだけでは「お客様がどのメニューを見て、何を注文し、満足して帰ってくれたのか」までは分かりませんよね。本当に知りたいのは、お客様の心の動きのはずです。

ウェブサイトの評価とは、このお客様の心の動きをデータから読み解き、ビジネス上の課題解決に結びつけるための羅針盤を手に入れることに他なりません。この羅針盤があれば、あなたのビジネスが今どこにいて、どこへ向かうべきかが明確になるのです。

ビジネスを動かす5つの評価軸と、見るべき指標

では、具体的にどのような視点でウェブサイトを評価すれば、ユーザーの心を読み解き、ビジネスを改善できるのでしょうか。私はいつも、ウェブサイトを大きく5つの軸で評価します。これらは互いに独立しているのではなく、深く関連し合っています。

① パフォーマンス評価:ユーザーの「待てない」気持ちに応える

ウェブサイトのパフォーマンス、特にページの表示速度は、ユーザー体験の土台そのものです。よく「表示速度が1秒遅れるとコンバージョン率が7%下がる」などと言われますが、これは単なる数字の問題ではありません。

遅いサイトは、ユーザーの「今すぐ知りたい」「早く見たい」という期待を裏切り、貴重な時間を奪う行為です。せっかく興味を持ってくれたお客様を、入り口でイライラさせて追い返しているようなもの。どんなに素晴らしいコンテンツを用意していても、見てもらえなければ価値はゼロになってしまいます。

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まずはGoogleの「PageSpeed Insights」などのツールを使って、ご自身のサイトの健康診断をしてみてください。「画像の圧縮」や「ブラウザキャッシュの活用」など、専門知識がなくても改善できる点は意外と多く見つかるものです。パフォーマンスは、おもてなしの第一歩だと考えてください。

② SEO評価:「見つけてもらう」ための対話

SEO(検索エンジン最適化)は、単に検索順位を上げるためのテクニックではありません。これは、あなたのサイトが提供する価値を、それを求めている人に届けるための「検索エンジンとの対話」です。

大切なのは、キーワードの裏側にあるユーザーの「検索意図」を深く理解すること。「なぜ、この言葉で検索したのか?」その背景にある疑問、悩み、欲求を想像するのです。その答えとなる質の高いコンテンツを用意することで、検索エンジンは「このサイトはユーザーの役に立つ」と判断し、評価を高めてくれます。

かつて多くの担当者がキーワードの詰め込みや被リンクの数に躍起になりましたが、今は通用しません。ユーザーの心に寄り添い、真に価値ある情報を提供することこそが、最高のSEO評価に繋がります。

③ ユーザビリティ評価:「迷わせない」ための道案内

ユーザビリティ、つまり「サイトの使いやすさ」は、お客様を目的地までスムーズにご案内する地図や案内板のようなものです。どんなに魅力的な商品が並んでいても、どこに何があるか分からない店内で、お客様は買い物を楽しめるでしょうか?

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「ナビゲーションは分かりやすいか」「ボタンは押しやすいか」「スマートフォンでも快適に見られるか」といった基本的な配慮が、ユーザーのストレスをなくし、満足度を高めます。特に、ユーザーがサイト内で「どこで迷い、どこで諦めてしまっているのか」を突き止めることは極めて重要です。

私はよく、サイト内の重要なページ遷移だけを可視化する「マイルストーン分析」という手法を用いるのですが、これによりユーザーがどこで道に迷っているかが一目瞭然になります。「使い勝手」の改善で向上するコンバージョン率は数%かもしれませんが、その数%がビジネスの成長を大きく左右するのです。

④ コンテンツ評価:ユーザーの「知りたい」を満たす価値提供

コンテンツは、ウェブサイトの心臓部です。ユーザーがあなたのサイトを訪れるのは、そこに「自分の悩みや課題を解決してくれる情報」があると期待しているからです。

しかし、アクセスデータだけを見ていても、ユーザーが本当に満足したかは分かりません。そこで私たちは、サイト内の行動履歴に応じてアンケートを表示するツールを自社開発しました。これにより、「この記事は役に立ちましたか?」といった直接的なフィードバック(定性データ)と、アクセスデータ(定量データ)を掛け合わせることが可能になったのです。

結果は明白でした。ユーザーから「役に立った」と評価されるコンテンツは、滞在時間も長く、コンバージョンにも繋がりやすい。あなたのサイトのコンテンツは、他にはない独自の価値を、分かりやすく提供できていますか? その問いこそが、コンテンツ評価の本質です。

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⑤ コンバージョン評価:ビジネスの「成果」に直結させる

そして最後に、ビジネスの成果に直結するコンバージョン評価です。商品購入、問い合わせ、資料請求など、ウェブサイトの最終目的をどれだけ達成できたかを測ります。

ここで私が強くお伝えしたいのは、「簡単な施策ほど正義」という価値観です。あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの遷移率がどうしても上がらないという相談を受けました。担当者の方は、何度もバナーデザインをリッチなものに変更していましたが、効果は限定的でした。

私は、見栄えの良いバナーではなく、記事の文脈に合わせたごく自然な「テキストリンク」への変更を提案しました。結果、遷移率は15倍に跳ね上がったのです。派手な改善だけが答えではありません。ユーザー 行動を素直に観察し、最も早く、安く、効果の大きい施策は何かを考え抜くことが重要です。

ABテストを行う際も同様です。「比較要素は一つに絞り、差は大胆に設ける」。中途半端なテストは、時間とリソースの無駄に終わります。次に進むべき道を明確にするための、大胆でシンプルな問いを立てることが成功の鍵です。

データを無視する航海のリスクとは?よくある失敗の本質

もし、これまでお話ししてきたようなウェブサイト評価項目を導入せず、感覚だけでサイト運営を続けるとしたら。それは、羅針盤も海図も持たずに、勘だけを頼りに大海原へ漕ぎ出すようなものです。

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どこへ向かっているのか分からず、無駄な広告費を垂れ流し、気づかぬうちに多くのビジネスチャンスを失っているかもしれません。さらに怖いのは、サイトが使いにくい、情報が古いといった問題が放置され、企業の信頼性そのものが損なわれていくことです。

私にも苦い失敗があります。クライアントからデータ活用を急かされ、データ蓄積が不十分と知りつつ、焦って不正確な分析から提案をしてしまったことがあります。翌月、正しいデータを見ると全く違う傾向が見え、クライアントの信頼を大きく損なってしまいました。データアナリストは、不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ「待つ勇気」が必要だと、痛感した出来事です。

正しい評価軸を持たないことは、ビジネスの成長機会を逃すだけでなく、誤った判断を下すリスクを増大させるのです。

もし、自社だけでは羅針盤を読み解けないと感じたら

ここまで、ウェブサイトを評価するための5つの軸と、その重要性についてお話ししてきました。もしかしたら、「話は理解できるが、これを自社だけで実践するのは難しそうだ」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

それは当然のことです。日々の業務に追われる中で、専門的なデータ分析に時間を割くのは容易ではありません。また、データを客観的に、そしてビジネスの文脈と結びつけて解釈するには、相応の経験と知識が求められます。

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私たちのような外部の専門家は、いわば「データの翻訳家」であり、ビジネスの「航海士」です。私たちは、数字の羅列からユーザーの心の声や行動の物語を読み解き、あなたの会社のビジネスゴールという港まで、安全で効率的な航路をご提案します。

もしあなたが、自社のウェブサイトという船の性能を最大限に引き出し、ビジネスの海を力強く進んでいきたいと本気で願うなら、一度プロの視点から現状を診断してみるという選択肢も、ぜひ検討してみてください。

明日からできる、最初の一歩

さて、長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、この記事を読んでくださったあなたが、明日からすぐに始められる具体的なアクションをお伝えします。

それは、「自社のビジネスゴールに最も近い指標を、たった一つだけ決める」ということです。

売上向上ですか? それならば「購入完了数」。リード獲得が目的なら「問い合わせ完了率」。まずは、あれもこれもと欲張らずに、最も重要な指標を一つだけ選び、Googleアナリティクスなどでその数値を一週間、毎日追いかけてみてください。

ハワイの風景

なぜその数字が増えたのか、あるいは減ったのか。その背景を少しだけ想像してみる。その小さな習慣が、データと向き合い、ユーザーの心を考える第一歩となります。その一歩の積み重ねが、やがてあなたのウェブサイトを、そしてビジネスそのものを、大きく成長させる原動力になるはずです。

あなたの航海が、実り多きものになることを心から願っています。

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