「GA4でデータが計測されない…」その悩み、原因は一つではない。プロが教える問題解決の羅針盤

GA4 設定したはずなのに、データがまったく計測されない…」「コンバージョンだけが、なぜかカウントされない…」

ウェブ解析の現場で、この静かなパニックほど心臓に悪いものはありません。私もアナリストとして20年のキャリアを歩んできましたが、この「データの沈黙」に直面し、途方に暮れる担当者の方を数えきれないほど見てきました。まるで、大海原で羅針盤がぴたりと動かなくなった船の船長のように、不安な気持ちでいっぱいになることでしょう。

ご安心ください。その悩み、あなた一人だけのものではありません。そして、その問題は必ず解決できます。

この記事は、単なる設定方法のマニュアルではありません。私がこれまで数々の企業のウェブサイトを立て直してきた経験に基づき、「GA4 計測されない」という問題の根本原因をどのように特定し、どう解決していくか、その思考プロセスと具体的な手順を、あなたと一対一で向き合うように、丁寧にお伝えしていきます。この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って問題の切り分けができるようになり、GA4という強力な羅針盤を再び手に入れているはずです。

なぜ「計測されない」がビジネスの致命傷になるのか?

まず、なぜ私たちはこれほどまでに「GA4で計測されない」という事態を恐れるのでしょうか。それは、データが取れないことが、単なる「数字が見えない」という問題に留まらないからです。

ハワイの風景

私が信条としているのは、創業以来、当社が一貫して掲げてきた「データは、人の内心が可視化されたものである」という言葉です。ユーザーがどのページで悩み、どの言葉に心を動かされ、なぜ購入をやめてしまったのか。アクセスデータとは、そうしたお客様一人ひとりの「声なき声」の集積に他なりません。

つまり、データが計測されないということは、お客様の声がまったく聞こえない状態で、ビジネスの舵取りをしているのと同じなのです。これでは、どれだけ素晴らしい商品やサービスがあっても、お客様が本当に求めているものとのズレに気づくことすらできません。的外れなキャンペーンに予算を投じ、気づかぬうちに機会損失を積み重ねてしまう…そんな悲劇は、決して他人事ではないのです。

問題解決の第一歩:原因の切り分けと思考フロー

「ga4 計測されない」と一言で言っても、その原因は様々です。闇雲に設定画面をいじっても、かえって事態を悪化させかねません。大切なのは、冷静に原因を切り分け、一つずつ可能性を潰していくことです。料理で最高の味付けを探す前に、まず「火はついているか?」「材料は揃っているか?」を確認するのと同じです。

まずは、以下のフローに沿って、ご自身の状況を確認してみてください。

  1. 【STEP1】そもそもGA4タグはサイトに設置されているか?
  2. 【STEP2】基本的な設定に漏れや間違いはないか?
  3. 【STEP3】特定のデータ「だけ」が計測されていないか?

この3つのステップで、問題の所在がぐっと絞り込めるはずです。それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。

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【STEP1】基本の確認:リアルタイムレポートで生存確認

まず、最も基本的な確認です。ご自身のスマートフォンや、普段とは別のブラウザでウェブサイトにアクセスしてみてください。そして、GA4の管理画面左メニューから「レポート」→「リアルタイム」を開きます。

この画面に、あなたのアクセスが「過去30分間のユーザー」として1以上カウントされていますか?地図上に、あなたのアクセス元地域が青い丸で表示されていますか?

もしここに何も表示されないのであれば、問題は「GA4の計測タグが正しく設置されていない」か「全く機能していない」可能性が極めて高いです。Googleタグマネージャー(GTM)の設定を見直すか、サイトのHTMLソースにトラッキングコードが正しく埋め込まれているかを確認しましょう。

逆に、ここに自分のアクセスが映るのであれば、タグ自体は機能しています。問題は次のステップにあると考えられます。

【STEP2】設定の罠:見落としがちな3つの原因

リアルタイムレポートは動いているのに、なぜかデータが正しく蓄積されない。この場合、GA4側の設定に原因があるケースがほとんどです。特に、以下の3点は必ず確認してください。

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1. フィルタ設定による「除外」

社内からのアクセスなどを除外するために設定する「内部トラフィックの除外」フィルタ。これは非常に便利な機能ですが、設定を誤ると、本来計測すべきユーザーのアクセスまで除外してしまうことがあります。

過去には、クライアントのオフィス移転後にIPアドレスの定義を更新しなかったため、新しいオフィスからの全アクセスが除外され続けていた、という笑えない事例もありました。リモートワークの普及で、社員のIPアドレスが固定でない場合も注意が必要です。意図しないフィルタが設定されていないか、データストリームの設定を今一度確認しましょう。

2. クロスドメイン・サブドメイン設定の不備

例えば、コーポレートサイト(example.com)から、ブログ(blog.example.com)やECサイト(store.another-domain.com)へユーザーが移動する場合、これらを一連の行動として計測するには「クロスドメイントラッキング」の設定が不可欠です。

この設定が漏れていると、ユーザーがドメインを移動した瞬間にセッションが途切れ、別のユーザーとしてカウントされてしまいます。これでは、ユーザーの行動経路が分断され、正しいコンバージョン計測は望めません。GA4の管理画面で「データストリーム」→「タグ設定を行う」→「ドメインの設定」で、関連するすべてのドメインが正しく登録されているかを確認してください。

3. ブラウザや拡張機能によるブロック

これはGA4の設定ミスではありませんが、見過ごせない要因です。ユーザーが利用しているブラウザのプライバシー設定(ITPなど)や、広告ブロック系の拡張機能は、GA4の計測を妨げることがあります。

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また、Cookie利用の同意バナーで「同意しない」を選択したユーザーのデータは当然計測されません。もしデータが想定より極端に少ない場合、Cookie 同意バナーの表示方法や文言が、ユーザーに過度な拒否を促していないか、という視点での見直しも必要になる場合があります。

【STEP3】特定イベントだけ「計測されない」場合の深掘り

「全体のアクセスは取れているのに、コンバージョンだけが計測されない」「特定のクリックイベントが反応しない」といったケースも頻発します。これは、より具体的なイベント設定の不備が原因です。

コンバージョン 計測されない

最も多い失敗が、「コンバージョンとしてマークを付ける」という最後のひと押しを忘れているケースです。GA4では、「purchase」や「form_submit」といったイベントを計測するだけではコンバージョンとして集計されません。

「管理」→「イベント」画面で、コンバージョンにしたいイベント名の右側にあるスイッチをオンにする必要があります。こんな単純なことで?と思うかもしれませんが、本当によくある見落としなのです。まずはここを確認してください。

それでも計測されない場合は、GTMのトリガー設定(サンクスページのURL指定ミスなど)や、イベント名・パラメータの記述ミス(大文字・小文字の間違いなど)を疑いましょう。

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クリックやファイルダウンロードが計測されない

GA4には、リンククリックやファイルダウンロードなどを自動で計測してくれる「拡張計測機能」があります。しかし、これが機能しない場合、ウェブサイトの作りが影響している可能性があります。

例えば、JavaScriptを使って特殊な方法でページ遷移させているボタンや、HTMLの構造が一般的でない場合、GA4がそれを「クリック」として認識できないことがあります。この場合は、GTMを使って「クリックされた要素」を個別に指定するカスタムイベントを設定する必要があります。

キャンペーンが計測されない(広告効果が不明に)

広告やメルマガからの流入が「(direct) / (none)」などと表示され、効果測定ができない。これは、UTMパラメータが正しく設定されていないことが原因です。

utm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン名)といったパラメータを、広告のリンク先URLに必ず付与しましょう。このルールが徹底されていないと、せっかく投じた広告費が、どれだけの成果に繋がったのかを正しく評価できなくなってしまいます。

失敗から学ぶ、データと向き合う心構え

技術的な解決策を並べてきましたが、最後に、アナリストとして最も大切にしている心構えについてお話しさせてください。

ハワイの風景

かつて私は、クライアントからデータ活用を急かされるあまり、まだ蓄積が不十分なデータに基づいて「おそらくこういう傾向でしょう」と報告してしまった苦い経験があります。しかし翌月、十分なデータが溜まると、見えてきたのは全く逆の傾向でした。前月のデータは、たまたまTVCMの影響を受けた異常値に過ぎなかったのです。この一件で、私はクライアントの信頼を大きく損ないました。

この失敗から学んだのは、「データアナリストは、不確かなデータで語るくらいなら、沈黙を選ぶ勇気を持つべきだ」ということです。「ga4 計測されない」という問題に直面した時も同じです。焦って不正確な状態で分析を再開するのではなく、まずは計測が正常化するまで「待つ」。そして、正しいデータに基づいて判断する。この誠実な姿勢こそが、最終的にビジネスを正しい方向へ導くと信じています。

まとめ:明日からできる、あなたの「次の一歩」

さて、ここまで「ga4 計測されない」という問題の様々な原因と対策について解説してきました。情報量が多く、少し混乱してしまったかもしれませんね。

でも、大丈夫です。まずは、この記事を「自己診断チェックリスト」として、もう一度ご自身のGA4設定を見直してみてください。

  • □ リアルタイムレポートに自分のアクセスは映りますか?
  • □ 意図しないIPアドレス除外フィルタはありませんか?
  • □ クロスドメイン設定に対象ドメインはすべて登録されていますか?
  • □ コンバージョンにしたいイベントに「マーク」は付いていますか?
  • □ 広告URLにUTMパラメータは正しく設定されていますか?

これらの基本的な項目を確認するだけでも、多くの問題は解決に向かうはずです。

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しかし、もし、これらを試しても問題が解決しない場合。それは、複数の要因が複雑に絡み合っていたり、サイトの特殊な構造が原因であったりする、より専門的な診断が必要なサインです。

そんな時は、一人で抱え込まずに、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。株式会社サードパーティートラストでは、15年間で培った知見を活かし、あなたのビジネスの羅針盤を正常な状態に戻すお手伝いをします。あなたの会社の状況、ご予算、そしてメンバーのスキルまで考慮した、現実的で、次につながる一歩をご提案することをお約束します。

あなたのビジネスの航海が、再び確かなデータと共に進み始める日を、心から応援しています。

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