BtoBサイトリニューアル、その前に。20年分の失敗と成功から学ぶ「勝つ」ための全手順
こんにちは。株式会社サードパーティートラストでWEBアナリストをしている者です。かれこれ20年、ECサイトからBtoB、メディアまで、様々なウェブサイトの課題と向き合ってきました。
さて、この記事にたどり着いたあなたは、おそらく「BtoBサイトリニューアル」という大きな課題を前に、様々な思いを巡らせているのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事は、単なるデザイン刷新や機能追加の話ではありません。私が20年間、数々の現場で見てきた成功と失敗の経験を元に、あなたのビジネスを本気で加速させるための、「勝つ」リニューアルの進め方を、余すところなくお伝えします。読み終える頃には、あなたのサイトが抱える問題の根本原因と、明日から踏み出すべき確かな一歩が見えているはずです。
STEP1:設計図を描く – リニューアルは「目的」が9割
BtoBサイトのリニューアルは、新しい社屋を建てるようなものです。いきなり「かっこいいデザインで」と内装から考え始める人はいませんよね。まずは「何のために建てるのか」という目的、つまり設計図が不可欠です。

驚くほど多くのリニューアルが、この目的設定を曖昧にしたまま進み、時間と費用を浪費して終わります。まず、あなたに問いたいのは、「リニューアルによって、ビジネスの何を、どう変えたいのか?」ということです。
「リード獲得数を現状の1.5倍にする」「特定サービスの問い合わせ比率を30%向上させる」といった具体的なKPI(重要業績評価指標)を定めましょう。これは、いわば登山の「山頂」です。山頂が定まって初めて、どのルートで登るべきか、どんな装備が必要かという戦略が見えてくるのです。
次に、現状分析という「健康診断」を行います。アクセス解析ツールを開き、サイトの現状を直視しましょう。どのページで多くの人が去っていくのか、逆にどのコンテンツが熱心に読まれているのか。数字の羅列に見えるかもしれませんが、これは「ユーザーの心の声」が可視化されたものです。私たちは15年間、ずっとそう信じてデータと向き合ってきました。
高い離脱率は「期待外れだった」という静かなため息。低い回遊率は「次に見たい情報が見つからない」という戸惑いの現れです。競合サイト 分析も重要ですが、まずは自社のサイトに残されたユーザーの足跡を丁寧に読み解くこと。それが、効果的なリニューアルの揺るぎない土台となります。
STEP2:データを翻訳する – Web解析は「答え」ではなく「問い」をくれる
リニューアルを成功に導く鍵は、Web解析の活用にあります。しかし、ただデータを眺めているだけでは、宝の持ち腐れです。データは「答え」を教えてくれるのではなく、「なぜだろう?」というビジネスを改善するための「問い」を私たちに投げかけてくれます。

闇雲な改善は、時間と労力の無駄遣いです。データという客観的な羅針盤を手に、改善の航海へと乗り出しましょう。
Google Analytics:ユーザーの「声なき声」を聞く
Google Analytics(GA4)は、まさにユーザー 行動記録そのものです。セッション数やユーザー数といった全体の賑わいも大切ですが、私たちが本当に見るべきは、その裏側にあるストーリーです。
例えば、「サービスAのページはよく見られているのに、問い合わせに繋がっていない」というデータがあったとします。これはユーザーが「興味はあるけど、価格が分からないから不安」「導入事例がなくて、自社に合うか判断できない」といった心のブレーキを踏んでいるサインかもしれません。
流入経路を見れば、どんな悩みを抱えた人がサイトにたどり着いたのかが見えてきます。デバイス分析でスマホユーザーの離脱率が高ければ、それは「PC目線で作られた使いにくいサイト」への静かな抗議です。私たちは、これらのデータからユーザーの感情を読み解き、具体的な改善アクションへと翻訳していくのです。
ヒートマップ:ユーザーの「視線」を追体験する
GA4が「どこから来て、どこへ行ったか」という足跡だとすれば、ヒートマップツールはユーザーの「視線」や「関心」を可視化してくれます。

「渾身のCTAボタンが全くクリックされていない」「誰も読まないと思っていた文末の注意書きが、実は熟読されている」…ヒートマップを見ると、作り手の思い込みが、いかにユーザーの行動とズレているかを痛感させられます。あるクライアントでは、ヒートマップ 分析に基づき、問い合わせボタンの位置を少し上にずらしただけで、クリック率が劇的に改善しました。
これは、ユーザーの無意識の行動をデータとして捉え、「もっとこうしてくれたら使いやすいのに」という心の声を先回りして応えた結果に他なりません。
CVR(コンバージョン率)改善:ビジネスの心臓部を強くする
どんなにアクセスを集めても、最終的な成果(コンバージョン)に繋がらなければ意味がありません。CVRの改善は、まさにビジネスの心臓部を強化する作業です。
ここで私の成功体験を一つお話しさせてください。あるメディアサイトで、記事からサービスサイトへの遷移率がどうしても上がらない、という相談を受けました。担当者の方は、バナーデザインを何度もA/Bテストしていましたが、結果は芳しくありませんでした。
私は、派手なバナーを全て撤去し、記事の文脈に合わせたごく自然な「テキストリンク」に変更することを提案しました。結果、遷移率は15倍に跳ね上がったのです。「簡単な施策ほど正義」というのが私の信条の一つです。ユーザーは美しいデザインではなく、自分に必要な情報を探している。この本質を見失ってはいけません。

STEP3:失敗から学ぶ – リニューアルで「絶対にやってはいけないこと」
華々しいリニューアルの裏には、数多くの失敗があります。私も、これまで数え切れないほどの過ちを犯してきました。その中でも、特にBtoBサイトリニューアルで陥りがちな、致命的な失敗を2つ共有させてください。
一つは、「忖度しすぎて、言うべきことを言わない」失敗です。
以前、あるクライアントでコンバージョンフォームに明らかな欠陥がありました。しかし、その管轄が他部署で、組織的な抵抗を恐れた私は、その根本的な指摘を避けてしまいました。結果、1年経っても本質的な改善はなされず、大きな機会損失を生んでしまいました。アナリストが真実から目を背けては、その存在価値はありません。
もう一つは、その逆で「相手の現実を無視した『正論』を振りかざす」失敗です。
別のクライアントの事情を考慮せず、理想論に基づいた大規模なシステム改修ばかりを提案し続けた結果、何一つ実行されなかった苦い経験もあります。
本当のプロフェッショナルとは、顧客の組織文化や予算、スキルといった現実を深く理解した上で、実現可能なロードマップを描くこと。そして、「避けては通れない課題」については、たとえ嫌われようとも、粘り強く伝え続けること。このバランス感覚こそが、ビジネスを本当に動かすのだと、私は失敗から学びました。
私たちの哲学:データから「ビジネスの物語」を紡ぐ
私たち株式会社サードパーティートラストは、単にサイトを分析する会社ではありません。私たちの信条は、創業以来変わらず「データは、人の内心が可視化されたものである」ということです。

私たちは、数値の改善そのものを目的とはしません。その先にある「ビジネスの改善」を見据えています。時には、サイトの問題ではなく、組織体制や商品そのものにまで踏み込んだ提案をすることもあります。なぜなら、それが根本的な課題解決に繋がるとデータが示しているからです。
Web解析のデータだけでは分からない「なぜ?」を解明するために、私たちはサイト内アンケートツールを自社開発(特許も取得しました)し、ユーザーの定性的な声と行動データを掛け合わせる、といった挑戦も続けています。
もし、あなたが今、数字の羅列にしか見えないデータの前で途方に暮れているのなら。もし、リニューアルという大きな決断を前に、確かな羅針盤を求めているのなら。ぜひ一度、私たちにお声がけください。
次のステップ:明日からできる「最初の一歩」
さて、長い道のりにお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、あなたが明日からできる、具体的な最初の一歩をお伝えします。
まず、Google Analyticsを開いて、「自社のビジネスに最も貢献してくれているページ」と「最もユーザーをがっかりさせている(離脱率が高い)ページ」を3つずつ、書き出してみてください。理由も想像で構いませんので、書き添えてみましょう。

それが、あなたのサイトリニューアルという壮大な冒険の、記念すべき第一歩です。その小さな気づきが、やがて大きなビジネスの成長へと繋がっていきます。
もし、その地図の読み解きに迷ったり、どのルートで進むべきか分からなくなったりした時は、いつでも私たちにご相談ください。あなたのビジネスの最高のパートナーとして、私たちが20年かけて培った知見のすべてで、その航海をサポートします。