AIモードで検索順位はどうなるのか — 計測できること・できないことを実務者視点で整理
GoogleのAIモード経由の流入はSearch ConsoleでもGA4でも従来の検索と区別できません。順位という概念がAIモードでどう変わるのか、現行の計測仕様でどこまで観測できるのか、実務者が今モニタリングすべき指標を整理します。
文責:サードパーティートラスト編集部
GoogleのAIモードは2025年9月に日本語でも展開が始まり、検索結果の形が根本的に変わりつつあります。従来の「10本の青いリンク」の代わりに、AIが生成した回答が提示され、その中に出典としてリンクが埋め込まれる形式です。
計測の実務から見た結論を先に述べます。AIモード経由のクリック・表示は、現行のSearch Consoleでは従来のWeb検索と合算されており、分離して観測できません。GA4でも google / organic として計測され、通常のオーガニック検索と区別がつきません。つまり「AIモードでどれだけ表示され、どれだけクリックされたか」を直接測る手段は、2026年7月時点で存在しません。
この前提を押さえずに「AIモード対策の効果測定」を約束してしまうと、レポーティングの段階で破綻します。できるのは間接的な観測です。以下、何がどこまで見えるのかを順に整理します。
Search Consoleでの見え方
Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、AIモードでの表示・クリック・掲載順位は「ウェブ」検索タイプに含めて集計されます。AI Overview(AIによる概要)も同様です。AIモードだけを切り出すフィルタは提供されていません。
これが実務に与える影響は2つあります。
1つ目は、掲載順位の解釈が変わることです。AIモードの回答内リンクとして表示された場合も表示回数と順位がカウントされるため、「順位は維持しているのにCTRが下がる」という現象が起きます。従来ならタイトル改善を検討する場面ですが、原因がAIモードでの回答完結(ゼロクリック)にある場合、タイトルをいくら磨いても数字は戻りません。
2つ目は、順位計測ツールの限界です。多くの順位チェックツールは従来型の検索結果を取得しており、AIモードの回答内に自社が引用されているかは取得できないか、取得できても安定しません。「順位」という単一指標でSEOの成果を報告してきた体制は、この時点で見直しが必要になります。
Googleの公式見解と、その読み方
Googleは「AIモードに対して特別な最適化は不要で、従来のSEOのベストプラクティスがそのまま有効」という趣旨の見解を示しています。特別なマークアップや専用の設定は存在しない、という点は事実として受け取ってよいと考えます。
ただし「特別な対策は不要」は「何も変わらない」という意味ではありません。AIモードは質問を内部で複数のサブクエリに分解し、それぞれの答えを合成する動きをします。1つのキーワードで1位を取る戦い方から、トピック全体で参照される面を持つ戦い方への移行は、対策の内容ではなく配分の問題として実際に効いてきます。
実務者が今モニタリングすべきもの
直接計測ができない以上、複数の間接指標を組み合わせて変化を観測することになります。現時点で現実的なモニタリング設計は次の通りです。
| 指標 | 見る場所 | 何のシグナルか |
|---|---|---|
| クエリ別のCTR推移 | Search Console(ウェブ) | 順位不変でCTR低下ならAI回答による完結を疑う |
| 表示回数の推移 | Search Console | AI回答への引用でむしろ増えるケースがある |
| 指名検索の推移 | Search Console(クエリに社名・サービス名) | AI経由のブランド接触が指名検索に転化しているか |
| AIアシスタント経由流入 | GA4(AIアシスタントチャネル) | ChatGPT等の会話型AI経由(AIモードとは別系統) |
| 主要クエリの手動観測 | AIモードでの実検索 | 自社が引用されるか、競合の誰が引用されるか |
最後の手動観測は原始的ですが、現状では最も確実です。自社の主要クエリ10〜20個を決めて、月1回、AIモードでの回答と引用元を記録する。ツールが取れない領域は、定点観測の設計で補うしかありません。
順位レポートをどう作り変えるか
月次レポートの構成を変えるなら、順位表を廃止するのではなく、位置づけを変えることを勧めます。順位は「従来型検索面での競争力」を示す指標として残しつつ、CTR推移と指名検索推移を並べ、「検索面の変化がクリックにどう影響しているか」を説明する構成です。
クライアントや上長への説明で使える整理はこうです。順位が測っているのは検索結果での位置であり、事業が求めているのは検索経由の接触と転換です。AIモードはこの2つの間の関係を崩しました。だから測るものを位置から接触へずらす、と。
AIモードの仕様は今後も変わります。Search Console側にAI関連の内訳が追加される可能性もゼロではありません。仕様変更のたびにレポートの前提が変わるので、レポートには「この数字がどの検索面を含むか」の注記を今のうちから入れておくことを勧めます。
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